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この夏“買って得する”ブックシェルフスピーカーバイヤーズガイド(1/4 ページ)

» 2007年07月23日 20時41分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 最近「ブックシェルフ」と呼ばれる小型スピーカーに、興味深い製品が次々と登場し好評を博している。一般的にはサイドボードあるいは机上に乗せられるまでのサイズのスピーカーを指すが、現在の日本では主流といってもいいぐらい高い支持を得ている。

 もちろんそれには、日本ならではの住宅事情が大いに関係している。それほど広くない部屋のほか机上で音楽を楽しむリスニングスタイルに、ブックシェルフタイプはちょうどマッチする。確かに低音の再生能力をいえば、大きければ大きいほど音響的に有利だが、ほどほどの空間、ほどほどの音量で聴くぶんにはこのサイズでも充分事足りるのだ。

 そういった事情も相まって、日本では数多くのブックシェルフスピーカーが販売されている。あまりに製品が多すぎて、かえって悩んでしまっている人も少ないはず。そこで今回は、ブックシェルフスピーカーを選ぶ際のポイントや注意点を紹介しつつ、それらを満たしたオススメ製品をピックアップした。

ブックシェルフ選択の3要素

photo ヤマハのブックシェルフ型スピーカー「Soavo-2」

 ブックシェルフスピーカーを選ぶときの重要なポイントは3つ。第1に「音色」、次に「大きさ」、そして「スタイル」だ。当たり前のことを言っているようだが、実は小型であるからこそ、この3要素はとても重要となってくる。なぜなら、そのコンパクトさゆえに、犠牲にせざるをえない部分が多々あるからだ。

 もちろんメーカーは、そのマイナス要素をアイディアとセンスのよい割り切りで克服し、大型スピーカーに負けない魅力を持たせようと努力している。だが物理的な問題はいかんともし難く、音色のクセが強かったり、環境によって音の印象が大きく変わってしまう「気むずかしい」製品が多いことも事実。オールラウンダーはほとんど存在しないので、選ぶ際には慎重さが必要となってくる。

 まず第1のポイント「音色」については、とにかく聴いて判断するしかない。よく聴くCDを持って量販店やオーディオ専門店に行き、ディスプレイされているデモ機を片っ端から聴かせてもらおう。数台、数10台と聴いているうちに、自分の好みが徐々に分かってくるはず。また自分が音楽を聴く際に気にしている楽器や、ボーカルの声質に集中してチェックするのも理想の1台に至る賢い手だ。ブックシェルフスピーカーは万能選手ではないので、得意とする楽器やジャンルが自然と絞られてくる。無理にそつのない優等生を探すのではなく、自分にとってもっとも気持ちいい音のスピーカーを見つけ出そう。

 好みの音のスピーカーが何台か見つかったら、次は「大きさ」の選択をしよう。どんな場所で使うかによって、理想のサイズはずいぶんと異なってくる。もし「ブックシェルフ」(本立て)という呼び名のごとく机上で使う場合は、できる限りコンパクトな製品を選びたい。目安にするのはウーファーユニットのサイズ。10センチ以上あれば、机上で利用するには充分な低音が確保されているので、「納得する音色+納得する低音の量感」を持つ最小サイズのスピーカーを選択しよう。リビングルームなどある程度広さのある場所で使う際には低音再生能力が重要となってくるため、それなりの大きさが必要となる。このような場所では、16センチ前後のウーファーユニットを搭載したモデルか、小口径ユニットを2つ以上搭載したモデルを最優先候補にしよう。

 そして3つめのポイント「スタイル」には、2つの意味がある。ひとつは機能としてのスタイル。もうひとつは見栄えとしてのスタイルだ。ブックシェルフスピーカーは、そのサイズ故に犠牲となっている部分が多々あるが、その最大の犠牲者が低音再生能力だ。

 スピーカーは、ユニットやボックスが大きければ大きいほど、低音再生能力が高いという揺るがしがたい特性がある。それを補うために、スピーカーボックスにダクト付の穴を設けて低音再生能力を向上させる「バスレフ構造」という手法があり、ブックシェルフスピーカーには必ずといっていいほど採用されている。

 しかし、これがまたコントロールの難しい存在で、特にこの穴(一般的にはバスレフポートという)が後ろに空いている製品では、オーディオに相当詳しい人であっても置き場所に苦労する。机上で使う場合、スピーカーの後ろに壁がないと低音の量感が足りず、壁が近すぎると一部の音階のみ強調されてしまうことがあるため、ある程度は自由に設置位置を選べる必要がある。

 ブックシェルフスピーカーのなかでも机上で使用するような小型のタイプは、フロント面積の都合上ほとんどがリアにバスレフポートを持つ。そういった製品でも良い音で楽しめるよう、可能なかぎり環境を整えるのがベストだが、どうしてもスピーカーの置き場所に自由度がない、左右スピーカーをシンメトリーな環境(壁からの距離や角度)に置けないひとは、バスレフポートが前方に付いているものを選択するのが無難だ。

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