筆者がSlim Devicesという会社を知ったのは、2年半ほど前。PCやMacで動く音楽サーバにデータを蓄積しておけば、ネットワーク経由で自由に音楽が楽しめるという、言ってみれば“よくあるタイプ”の製品を作っている企業である。同社はこれまで7年にわたってネットワークオーディオ機器を販売してきた。
しかし、Slim Devicesが他とやや異なっていたのは、ある程度、コストをかけて音質を高めた「Transporter」というネットワークオーディオクライアントをラインアップしていたことだ。
Transporterはアナログ出力、デジタル出力ともにアンバランス/バランスの両出力(デジタルは光にも対応)を備えるほか、S/PDIF入力を通じて他デバイスのDACとしても利用できる。また、ワードシンク入力を備えており、他のデジタル機器とクロックを共有し、ジッターによる音質低下を抑えることも可能だ。
1999.99ドルのTransporterは、ハイエンドオーディオ機器ほどではないにしろ、オーディオ機器としての体裁がきちんと取られている。ゴミのように音の悪いネットワークオーディオ機器が多い中で、とても貴重な存在だと注目していたが、「2008 International CES」の会場で関係者にインタビューしたところ、今年の夏ぐらいには国際化が行われ、日本語でも利用可能になるという。
現在はLogitech(日本でのロジクール)の一員となっているSlim Devices、現Logitechでストリーミングメディアシステムグループ・プロダクトマーケティングディレクターを務めるジム・カールトン氏に、新製品「Squeezebox Duet」と今後のSlim Devicesについて話を訊いた内容をまとめてみた。
Squeezebox Duetは無線LANと有線LANの両方に対応したオーディオデバイスと、無線LAN対応の2.4インチカラー液晶パネル搭載リモコンの2つで構成されている。オーディオ出力は光・同軸の両デジタル端子とアナログ端子だ。
こうしたネットワークオーディオ機器は多くの場合、リモコンでの操作性に問題を抱えていた。数多くの楽曲ライブラリの中から、望みのアルバムや曲を探すために、よくあるCDプレーヤーのような表示では操作しづらい。パソコンからの操作ならば、そうした悩みも解決しやすいが、音楽を楽しむときにいちいちパソコンを操作しなければならない、となると抵抗感を強く持つ人も多いはずだ。
Squeezebox Duetは、そうした問題を解決するため、無線LANと液晶ディスプレイを備えたリモコンを使い、手元でiPodライクな操作を行うだけで登録してあるネットワークオーディオ機器から音を出せる。再生中の楽曲のデータも手元のディスプレイに表示された。
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