オーディオレシーバー部、リモコン部ともに単体購入でき、レシーバーを異なる部屋に置くなどしてマルチルームシステムを簡単に組み、リモコンで操作できるというのも便利だ。各レシーバーは異なる音楽を再生することもできるし、すべてのレシーバーから同じ音楽を再生させることもできる。
しかも、リモコン部は過去に発売されたすべてのSlim Devices製ネットワーク音楽レシーバーをコントロールできる。例えば、前述のTransporterに付属するリモコンにはディスプレイは備わっておらず、Transporter筐体前面のディスプレイを見ながら操作を行わなければならないが、Squeezebox Duetのリモコン部(Squeezebox Remote)を使えば、Transporterも手元のリモコンにあるディスプレイを使って楽曲を選択、再生できる。
ディスプレイ上にはアルバムカバーアートなども表示されるので、これは大変に便利だ。さらにリモコン部の先端には赤外線トランスミッターも備えており、赤外線リモコン対応機器のコントロールも可能だという。
Squeezebox Duetの価格は399ドルで、リモコン部のみは299ドル、レシーバー部は149ドル。再生可能な音声フォーマットはAAC、MP3、Ogg Vorbis、WAV、WMA(ロスレス含む)、Apple Lossless、FLACと、ほとんどのフォーマットに対応している。
こうした柔軟な構成が可能で、なおかつ過去に発売されたデバイスのリモートコントロールもできるのは、機能の多くをサーバ側で実現しているためだ。オープンソースで開発されているSlim Devicesのサーバは、各デバイスに音楽データを配信するだけでなく、各デバイスに合わせたイメージ情報を送る。
例えば曲名やジャケットなどの情報がそれ。曲名やアーティスト名などの文字も、サーバ側でイメージを作ってからリモコンや各デバイスに送る。レシーバやリモコンは最低限の能力しか持たされていないので、サーバの機能アップでどんどん機能や使いやすさを進歩させることができるわけだ。冒頭で述べた日本語化に関しても、デバイス側はそのまま。サーバをアップデートするだけで日本語表示ができるようになる。
なお、サーバソフトウェアはWindows、MacOS X、Linuxで動作するが、一部のNASにはSlim Devicesのサーバ機能がインストールされているという。対応しているNASのブランドにはネットギアやバッファローといった、よく知られたブランドがある。
さらにサーバはプラグイン形式で機能アップさせることが可能だ。プラグインの仕様は公開され、ユーザーコミュニティの間でいくつもの機能が実装されているという。例えば「MusicIP Mixer」に対応するモジュールを利用することが可能で、自分が蓄積している楽曲の中から、ムードに合わせて自動的にプレイリストを生成、再生させることもできる。
さらに興味深いのは、米LogitechがSlim Devicesの技術をライセンスしようとしていることだ。カールトン氏は「会社名は明かすことができないが、大手AV機器メーカーとライセンスに関しての話し合いを行っている。われわれの発売するデバイスだけでなく、より多くのデバイスとつながることで、音楽をより幅広く楽しんでもらえる環境を簡単に構築できる」と話している。
さて、最後に日本市場への展開だが、6〜7月に日本語を含む国際化対応が完了する予定で、米Logitechとしては積極的に日本を含めた世界展開を仕掛けたいと話している。サーバソフトウェアの国際化が終われば、米国で発売されている製品が、そのまま日本語でも使える。
日本法人のロジクールは「現時点では発売するかどうかの判断は下していない」と慎重だが、操作性と音質の両方にケアしている製品は少ない。カールトン氏によると、Squeezebox Duetの音質は、「レシーバー部のみで149ドルという価格なりにケアしている」とのことだが、音質重視派にはTransporterという選択肢もあるだろう。
これまでにありそうでなかった製品だけに、日本への上陸が待ち遠しい製品だ。
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