社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は2月21日、薄型テレビやDVDレコーダーなど主要AV機器の世界需要予測を発表した。このうち国内の需要動向をみると、ハイビジョン化という大きな波が各製品の需要を一時的に縮小させたものの、2007年から2008年にかけて大きな転換期を迎えていることが分かる。
例えば、薄型テレビ。世界に先駆けて液晶やプラズマといった薄型テレビが普及した日本だが、2001年から2006年まで国内テレビ需要は5年連続で前年割れとなっていた。JEITAでAV予測PG委員を務めるシャープの豊島紹子氏は、「薄型テレビへの買い替えを睨んで買い控える消費者が多かった反面、薄型テレビとブラウン管テレビの価格差が大きかった」と分析している。
しかし2005年に薄型テレビの需要がブラウン管テレビを上回る“クロスオーバーポイント”を迎えた後は、急速にブラウン管の需要が減少。2007年は出荷台数が前年比110.1%の897万台と盛り返し、テレビ需要の「転換期」になった。
「より大きな画面が手頃な値段で入手できるようになったことにくわえ、機能の充実やカラーバリエーションの拡大などでユーザーの選択肢が広がったことが大きい」(豊島氏)。
JEITAでは、2008年以降も薄型テレビ需要は年平均5.9%の伸びで順調に拡大していくと予測。2011年のアナログ停波後も、省スペース性や省電力といった利便性によって2〜3台目需要を取り込み、2012年の総需要は1195万台に及ぶとした。一方、ブラウン管テレビやプロジェクションテレビは、「2009年には市場からほぼなくなる」と予測している。
次世代DVDを含むDVDレコーダー/プレーヤーも転換期を迎えている。2007年は577万2000台と対前年比(594万9000台)で微減。「手頃な価格になったDVDプレーヤーは売れたが、次世代ディスクへの移行に伴うDVDレコーダーの一時的な落ち込みをカバーしきれなかった」(AV予測PG委員のソニー・佐々木ひづる氏)。
しかし、2008年以降は次世代DVDへのリプレースが進むことから、レコーダーを中心にDVD関連製品は二桁成長を続けると予測。2012年におけるDVD関連製品の年間総需要は760万台を見込んでいる。
ビデオ一体型カメラも、2007年は134万6000台と前年(142万8000台)に比べ見劣りする結果だった。ただしハイビジョンモデルの構成比が年末(2007年10月〜12月期)には49%に及ぶなど、順調に推移していることなどから、2008年の総需要は140万台を回復すると予測する。さらに2009年と2010年の2年間は1450万台と「ピークを迎える見通し」だ。
なお、ビデオカメラに関しては、高解像度化とともにメディアの移行も顕著になった。HDDなどの非テープメディア(ディスク/メモリ)を使用する製品の構成比は2007年10月〜12月期で86%。2006年の4〜6月期と比較すると25ポイントも上昇しているという。
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