ITmedia NEWS >

タッチパネル搭載の進化形コンパクトデジカメ――パナソニック「DMC-FX500」レビュー(3/5 ページ)

» 2008年04月04日 08時30分 公開
[小山安博,ITmedia]
photo 本体上部は電源スイッチとズームレバー一体型のシャッターボタンだけ

 これらの「おまかせ系」機能をタッチパネルと組み合わせたことで、近距離の被写体を画面越しにタッチしてAFを合わせると接写認識に、ちょっと離れたところにいる人の顔をタッチすれば顔認識に、といった具合に、意図的にモードを変えられるのも便利。タッチパネルのないFX35ではできない芸当だ。

 おまかせiAモードに加え、FX500ではマニュアル撮影モードも搭載。シャッタースピード優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出が利用でき、前述のようにタッチパネルを使った設定が可能になっている。

広角撮影も楽しめる

 FX500の特徴としては、35ミリ判換算で25ミリスタートという広角に強いレンズを搭載した点も挙げられる。これもFX35と同様なのだが、コンパクトデジカメとしてはかなりの広角レンズと位置づけられ、より広い範囲を一度に撮影できる。

photophoto レンズは35ミリ換算で25〜125ミリまでをカバー

 FX35と異なるのは、光学ズーム倍率が4倍から5倍にアップした点。これにより、焦点距離は25〜125ミリまでをカバー(FX35は35ミリ換算で25〜100ミリ)。より幅広いシーンが撮影できるようになっているが、レンズの開放F値はF2.8〜F5.9で、ちょっと望遠端の暗さが気になるところ。また、撮影可能範囲が望遠端で100センチからとなっており、あまりテレマクロで寄れなくなってしまった。

 基本的な画質はFX35と同等。低感度からざらつきが残っており、高感度になるほどノイズ低減処理の影響か絵に粗さが表れる。とはいえ、L判〜2L判程度の印刷であれば十分なレベルの画質だ。

 全般的なレスポンスに関して不満はない。起動からレリーズタイムラグなど、基本的な動作は十分に高速。また、設定から「クイックAF」を設定すると、カメラを構えた段階からAFが動作することでシャッターボタン半押し時のAF時間を短縮することができるのも便利だ。

 再生機能では、3型の大型液晶を生かした2画面再生機能が便利。またFX35にもあった、該当するカテゴリーに含まれる写真だけ再生する「カテゴリー再生」もサポート。FX500では撮影時のシーンモードやおまかせiAで認識されたシーンに応じて画像にカテゴリーが設定されるので意外に便利な機能だ。

photophoto 2画面表示モード。画像比較に役立つ(左)。画像整理モードでは、写真を見ながらお気に入りに登録したり、削除したりといった作業が行える。ここでもタッチパネルが利用できる

 FX500の特徴は、なんといってもタッチパネルなのだが、これまで通りのボタンでの操作も併用しているため、タッチパネルになじめなくても、利用において困ることはない。ボタン操作を残しているためにサイバーショットTシリーズのような先進的なイメージは感じさせないが、内容的にはTシリーズに劣らず、むしろレスポンスの面では上回っている部分もある。

photo 液晶が大型化したためか、撮影可能枚数はCIPA規格で約280枚と、FX35よりの同290枚より少し減少

 とはいえ、やはりiPod touchHTC Touchのような独特の動きはサポートされていない。日本メーカーにもそうした使いやすい新しいインタフェースを期待したいところだ。

 ただ、タッチパネルを含めた全体の完成度が高いはFX500の優れた点だ。実験的にタッチパネルを搭載したという感じではなく、きちんと作り込まれてきている。25ミリの広角レンズ、高精度のおまかせiAと、タッチパネル以外の見所も多いカメラだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.