2回に渡り、REGZAの新しいハイエンドモデル「ZH500」シリーズのレコーダー機能を解説してきた(関連記事1、関連記事2)。最終回は、テレビとしての基本機能である画質と音質がテーマ。同社が初めて採用したハーフグレアパネル、新開発の「おまかせ」映像調整、そして世界初となる「ドルビーボリューム」などを検証していこう。
REGZA「ZH500」シリーズは、多機能性で好評を博した「Z3500」の事実上の後継機だ。Z3500はまだカタログ落ちしていないが、これはZH500の最大画面サイズが52インチなのに対して、Z3500は57インチで、同サイズのみ併売という形になっているため。最新ラインアップという意味では、あくまでZH500がハイエンドモデルになる。
ZH500では、Z3500の機能を継承、もしくは強化され、内蔵HDDへの録画機能が追加された。ZH500とZ3500を同じ52インチモデルで比較すると、重量が約4キログラム軽量化された43.5キログラムとなり、本体部の厚みが14.7センチから10.2センチまでスリム化された。見た目にもすっきりした印象を受ける反面、スタンドが長方形の素っ気ないデザインになるなど、コストダウンを感じる部分もある。
入出力端子は、アナログRGBの省略とトレードオフの形でHDMI入力が1つ増えて4つとなった。このうち1系統が側面に配置されているため、ゲーム機やビデオカメラを利用する人には便利だ。またHDMI入力3は、DVI-HDMI変換ケーブルなどを使用してPCと接続する場合に配慮し、ステレオミニプラグのアナログ音声入力をサポートしている。一方のアナログ入力は、4系統のコンポジットビデオ+オーディオの内、2系統にD端子、2系統にS端子(S2)を備える。さらに、REGZAの2008年春夏モデルの中で唯一、MPEG2-TS入出力に対応した2系統のi.LINK端子を搭載した。
入力端子に関しては、数よりもむしろレイアウト変更の方が重要だろう。Z3500ではアナログ系とデジタル系の端子類が離れた場所に配置されていたが、ZH500では背面の右端にまとめられ、下向きの端子配置もアンテナ入力のみになった。配線の作業はZ3500のときと比べ、明らかに楽だ。このあたりの改善は、結構大きなポイントではないだろうか。
では、画質面を見ていこう。ZH500の新しいトピックは液晶パネルのハーフグレア処理だ。液晶テレビの多くはパネル表面にノングレア処理が施され、外部からの光を乱反射させることで光源などの映り込みを防いでいる。これはメリットも大きい反面、液晶パネル自体の発色やコントラストにも影響を与えてしまうが、明るいリビングなどで利用することを考えるとノングレア処理は避けられないというのがテレビの半ば常識だった。このあたりの事情は、本田雅一氏の連載に詳しい。
一般のノングレア処理では、液晶パネルが真っ暗な状態でも何かが鮮明に映りこんで見えることはまずないが、ハーフグレアのZH500では結構キレイに映り込む。この点は、従来機と明らかに違う。
実際に映像を表示した状態では、照明との位置関係によって映り込みの程度が大きく異なる。今回は10畳ほどの部屋の壁際にZH500を設置したが、天井の光源(蛍光灯40ワット×2、カバーなし)はほとんど気にならなかった。ただし、部屋のドアを開け広げていたところ、画面が暗いシーンで“隣室の照明”が映り込んで見えた。これは、画面との位置関係が水平に近くなるためだろう。
試しにZH500の手前にノングレアのPCディスプレイを置いてみると、程度の差はあるが、やはり隣室の照明は映り込む。形こそぼやけているが、気になる人は気になるレベル。人によって許容範囲に差がある部分だろう。1つ確かなのは、光源の多い量販店の店内などでは不利に働く可能性が高いということだ。
一方、ハーフグレアによる画質面のメリットは確実にある。Z3500でも暗部の描写力はかなり良かったが、ハーフグレア処理によって磨きがかかった印象だ。映像エンジン「パワー・メタブレイン」のハードウェアは変わっていないが、当然パネルの表面処理に合わせてチューニングは施されているはず。
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