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ソニーが満を持して投入したホームサーバ――Liblog Station「HS1」の実力(後編)VAIOとの連携でもっと便利に(3/3 ページ)

» 2008年05月29日 16時00分 公開
[都築航一,ITmedia]
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ハイビジョンの動画も共有可能

 デジカメ画像以外のデータを別ネットワーク経由でやりとりする場合は「データリンク」機能を用いる。ちなみに、バッファローのNASでは、バッファローのWebページへ登録することで、別ネットワーク上のPCからNAS内のデータをダウンロードできる機能を備えているものもあるが、HS1ではアップロードとダウンロードの両方に対応している。

家の外で操作しているクライアントPCから家のHS1に向けて、データリンク機能を使ってデータを送信しているところ。スケジュール設定が可能な自動送信の機能も備えており、HS1をバックアップ媒体として使うこともできる

 とはいえ、家庭内LANとは違い、Windowsのエクスプローラのような使い慣れた操作でアクセスできるわけではなく、PC Linkをインストールした別ネットワーク上のPCとHS1との間で、互いに指定した特定のフォルダに向けて、設定したスケジュールにしたがってデータをアップロードもしくはダウンロードできるという簡易的な機能だ。

 もっとも、途中で通信が途切れた場合は、接続が確立した時点で続きからアップロードもしくはダウンロードを再開する自動レジューム機能も備えており、ハイビジョンの大容量動画コンテンツをやり取りする場合も、面倒は最小限ですむ。この機能を使えば、外出先からHS1をデータのバックアップドライブとして使うこともできるというわけだ。

 制限はあるものの、ネットワークに関する知識がほとんどなくても、グローバルIPアドレスを持たない家庭内のNASと、家の外のPCとで、相互にデータをやり取りできるのはありがたい。

ホームネットワークをより簡単にしたソニーらしい1台

 以上、HS1の利用シーンを中心に簡単に見てきたが、最後に買い得度について触れておこう。1TバイトモデルのHS1で実売6万円前後、1.5TバイトのHS1Sが8万円前後という価格設定は、ライバルと比べてやや割高な印象を受ける。とりわけ、バッファローの低価格な製品とは、1Tバイトモデル同士で比較すると2万円ほども開きがある。

 とはいえ、可能な限りPCいらずで、しかも難しい操作なしで手軽に扱えるようにと考えられた各機能には、他機種にない独自の魅力を感じたことも確かだ。また、機能に制限はあるが、外出先からアクセスできるテラバイト級のオンラインストレージは、モバイルPCなどのユーザーにとって魅力的に映るに違いない。冒頭で触れた、リビングに設置しても違和感の少ないデザインも、地味ながら見逃せないポイントだろう。

 HS1は、これまで同社がVAIOの開発を通じて培ってきた、ホームネットワーク内でのコンテンツ活用や外部ネットワークとのデータのやり取りといった技術が、PCレスでも手軽に利用できる段階に到達したことを示していて興味深い。現状では、デジタル放送の録画データを保存することはできないが、将来的にダビング10への対応を果たせば、リビングに置くホームサーバとして、より強力な製品になるだろう。

 また、VAIOのExtention Lineで中核をなす製品ともいえるもので、同シリーズの製品と組み合わせて使えば、手軽さや便利さを多くの場面で実感できるハズだ。CP1やWA1のユーザーでNASの購入を検討しているならば、真っ先におすすめできる。

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