円いVAIOの“とんがった”中身――ソニーのテレビサイドPC「TP1」速攻レビューVista用の新アプリ満載(1/3 ページ)

» 2007年01月25日 14時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

HDMIでTVとつながるテレビサイドPC「TP1」

円筒形のボディがユニークなテレビサイドPC「TP1」。近日発売予定

 Windows Vista搭載PCの発表ラッシュの中でも一際異彩を放つ製品がVAIOの新ラインアップとなる「TP1」だ。ディスプレイとのセット販売はなく、リビングの大型TVなどとHDMIで接続して利用する「テレビサイドPC」と位置付けられている。その特徴的なデザインはフォトレビューを参考にして欲しい。同様のコンセプトを持つ製品としては富士通が「FMV-TEO」を発表済みだが、個性的な外観が幸いし、TP1のほうが第一印象のインパクトは大きいだろう。

 店頭販売用には2モデルが準備される。上位モデルの「VGX-TP1DT」には同時に投入されるLAN接続のデジタルTVチューナー「VGF-DT1」が付属し、下位モデルの「VGX-TP1」が単体販売の製品となる。OSはいずれもWindows Vista Home Premiumだ。

 PCとしての基本ハードウェアスペックはほぼ同一で、異なるのはHDDの容量のみ。VGX-TP1が160Gバイトなのに対し、VGX-TP1DTではデジタル放送の録画を考慮して500Gバイトと大幅に大容量化されている。HDD以外の基本スペックを確認しておくと、CPUがCore 2 Duo T5500(1.66GHz)、チップセットがIntel 945GM Expressで内蔵グラフィックス機能を利用。1Gバイトのメモリ(512MバイトのPC2-5300 SO-DIMMモジュール2枚でデュアルチャンネル対応)を装備し、2層対応のDVDスーパーマルチドライブ、HDオーディオ機能、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11g/bの無線LAN、そしてハードウェアエンコーダ搭載の地上アナログTVチューナーを備える。

Windowsエクスペリエンスインデックスは基本スコアこそ3.1だが、これは5項目中最低のスコアが3.1ということ。CPU、メモリ、HDDのスコアは十分に高く、ゲーム利用でなければ快適に利用できるスコアだ。Windows Aeroが有効のまま使用したが、描画速度に不満を感じるようなことはなかった

 突出したスペックはないが、メインメモリを1Gバイト装備することで、Windows Aeroを扱えるようにしている。Windowsエクスペリエンスインデックスの基本スコアは3.1で、Windows Aeroを利用できるギリギリのスペックに見えるが、これはグラフィックス機能がチップセット内蔵だからで、CPUは4.7、メモリは4.5、HDDは5.3とWindows Vistaが快適に動作するスコアになっている。

 ここでは、実売予想価格が13万円前後と手ごろな下位モデルのVGX-TP1を取り上げる(VGX-TP1DTは実売予想価格20万円前後)。今回は試作機を使用したため、製品版とは仕様が異なる可能性があることを最初にお断りしておく。デジタルTVチューナーのVGF-DT1については、後日単体でレビューする予定だ。

 なお、CTOに対応した同社直販のVAIO・OWNER・MADEモデル「VGX-TP1S」は、CPU、メモリ、HDD、光学ドライブの仕様、地上アナログTVチューナーの有無、オフィススイートとセキュリティソフトの有無が選べる。CPUは店頭販売モデルにはないCore 2 Duo T7200(2.0GHz)とCeleron M 430(1.73GHz)が用意されている。

 HDDこそデスクトップPC用の3.5インチタイプだが、本機はCPUをはじめ、チップセット、メモリモジュール、光学ドライブにノートPC用のコンポーネントを採用している。これは、リビングでの長時間利用を考慮して、小型化、低消費電力、静音性を意識したものだろう。実際、本体サイズは270(直径)×91(高さ)ミリ、重量は約3.7キロと小さく、電源はACアダプタを採用する。動作音は光学メディアへのアクセス時にわずかに気になる程度だ。HDDの動作音もほとんど聴こえてこない。

直径270ミリの本体は、Mac miniほどではないが、かなり小さな印象。電源はACアダプタで供給する(写真=左)。前面にスリムタイプの2層対応DVDスーパーマルチドライブを装備(写真=中央)。2基のSO-DIMMメモリスロットが底面に用意されている

 キーボードはタッチパッドを内蔵し、テンキー部を省略したデジタル無線方式のワイヤレスタイプだ。横幅が狭いため、リビングなどで利用する場合も余計な場所を取らずに使える。膝の上に乗せての操作も座りがよい。どちらかというとノートPCのキーボードに近いレイアウトだが、キータッチは柔らかめでストロークが必要十分にあり、操作性は悪くない。ワイヤレスということで一定時間操作がないと自動で省電力モードに移行する機能も備えているが(キー操作で自動復帰)、背面にはスライド式の電源スイッチも装備している。誤操作や子供のいたずら防止にも役立ちそうだ。

 また、キーボードにはFeliCaポートも搭載しており、EdyやSuicaなどFeliCaベースの非接触ICカードの残高や利用履歴確認が可能。Edyでオンライン決済可能なショッピングサイトも着々と増加しており、インターネットでクレジットカードを利用するのが不安という人にも便利に使える機能だ。

 なお、詳しくは後述するが、専用リモコンが付属し、キーボードを使わずともインターネットへのアクセスやテレビ視聴が手軽に行える。

小型のワイヤレスキーボードはタッチパッドとFeliCaポートを内蔵(写真=左)。キーボードは底面に単三形乾電池4本を装着して利用。電池部分の膨らみがキーボードのチルト機構になっている(写真=中央)。本体に合わせた新デザインのリモコンが付属する(写真=右)

 「テレビサイドPC」のコンセプトを実現するために重要な機能がHDMI出力端子だ。これにより、HDMI入力端子を備えるTVとデジタル接続することで、TVをPC用ディスプレイとして利用できる。1本のケーブルをつなぐだけで映像と音声の信号が伝送できるほか、DVI-Dへの変換コネクタが付属しているため、PC用ディスプレイやプロジェクタ(HDMIが登場する前の製品にはDVI-D端子を持つ製品も多い)などとデジタル接続することも可能だ。

 さらにD-Sub 15ピンのアナログRGB出力も備えており、ほとんどのPC用ディスプレイとの接続も可能だ。ただし、この場合は別売のVGF-DT1と組み合わせてもデジタル放送を視聴することができない。VGF-DT1を増設してデジタル放送を視聴するには、HDMIかHDCP対応のDVI端子を備えるTVやディスプレイと接続することが必須になる。

前面には、無線LANスイッチ、SDメモリーカードスロット、メモリースティック(PRO対応)スロット、USB 2.0×2、4ピンのIEEE1394などを用意(写真=左)。背面には、HDMI出力やアナログRGB出力、光デジタル音声出力などの端子が並ぶ(写真=右)。背面のコネクタを隠すマグネット式のカバーも同梱される

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