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第1回:部屋いっぱいのサラウンド感――ソニー「HT-CT100」サラウンドで北京五輪を堪能する(2/2 ページ)

» 2008年08月01日 12時26分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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使い勝手をチェック

 HDMI端子は、入力3系統に出力1系統。入力に関してはAVアンプ並みの数を用意しているので、プレイステーション3やBDレコーダーなど、HDMI接続機器を複数台持っている家庭でもまず不満はないだろう。そのほか光デジタル×3、同軸デジタル×1、アナログ×1、デジタルメディアポート(DMPORT)×1という具合に豊富な入力を持っているため、テレビからウォークマンまで、オーディオシステムを1つにまとめ上げられる点もありがたい。

 ボリュームやサラウンドフィールドモードは、サブウーファー前面にあるディスプレイに表示される。略語アルファベットを表示するだけのシンプルなタイプだが、操作系が簡単なので実際の使用時に迷うことはまずない。

photo 入力ソースやサラウンドフィールドモードはサブウーファーのフロントパネルにあるディスプレイで表示される。表示内容はシンプルだが分かりやすい。上面には電源/入力切替/ボリュームスイッチが配置されている

 リモコンは、テレビやレコーダーなどの操作もこれ1つで行うことができる万能タイプ。テレビ側からさまざまな操作ができるブラビアリンク対応もこの機種の売りだが、非対応のテレビであってもこのリモコンを使ってかなりの部分を操作することができる。こういった配慮はうれしいかぎりだ。

photo リモコンはBDレコーダーやTVなどの簡易コントロールもできるフル機能タイプ。ブラビアリンク非対応の機器を接続する場合に重宝しそうだ

サウンドチェック

 コンパクトサイズでバーチャルサラウンドというシステム構成から、サウンドに関してはあまり期待はしていなかったのだが、なかなかどうして。本格的なオーディオシステムを目指した開発者の意図がよく現れている、良好なピュアサウンドを聞かせてくれた。

 なかでも良かったのが中域以上。解像度感が高く、人の声や楽器の演奏などのリアリティーは充分以上。メインスピーカーのサイズが40×70ミリと小サイズのフルレンジユニットを採用しているため、帯域の幅広さという点で弱点はあるが、それも許容できる範囲内に収まっている。聴かせどころをしっかり押さえているので、音質的な違和感はほとんど感じない。

 BDソフトを聴いた際に、音声フォーマットの違いが顕著に分かる点も面白い。とくにリニアPCMのサウンドが良好で、バーチャルサラウンドながらもかなりの迫力とリアリティを再現してくれる。あくまでも本格的AVシステムとは一線を画くクオリティーではあるが、「いつもはテレビ、たまにDVDやBDのソフト」という使い方の人なら、納得のいくサウンドを体感できるはずだ。

photophoto フロント3チャンネルスピーカーには、40×70ミリサイズの楕円型フルレンジスピーカーを採用。小口径のメリットを生かしてツイーターなしでも充分な高域再生が可能だ。(左)サブウーファーには16センチユニットを使用。バスレフ構造を使用することで、小口径ユニット/小サイズボックスながらも低域ボリュームは充分(右)

 サラウンド感に関しては文句のつけようがない。部屋いっぱいに音が満ち、まさに音に囲まれているかのよう。バーチャルで再生されるリアスピーカーもきちんと感じ取れる。よくよく聞けばエコー成分のような音像のボケも感じられるが、空間全体が生み出す音の迫力に押され細かいことはあまり気にならない。

 あえて難点を上げるとすれば、フロント3チャンネルスピーカーとサブウーファーのクロスオーバー帯域前後の音だ。メインスピーカー、サブウーファーともに小サイズということもあってか、音の重なりが少々不自然で、急に音色が変わってしまう傾向がある。サブウーファーのボリュームを小さくすれば違和感は減るが、迫力も弱くなってしまうため考えどころ。せめてクロスオーバー帯域を手動で変更できればよいのだが、簡単設置を前提にしているHT-CT100だけに、そういった機能は用意されていない。ここは割り切るしかないだろう。

お勧めしたいユーザー

 簡単に設置できて、視覚的にも邪魔にならないものが欲しいという人にはベストな選択肢。またテレビを壁掛けしている人にもお勧めだ。

 コンパクトなサイズからは想像できない、テレビ内蔵スピーカーとは格の違うサラウンドフィールド、そして良質なサウンドを、心ゆくまで堪能してほしい。

試聴に使用した環境

photo パナソニック「TH-37LZ85」。パナソニックの液晶テレビシリーズの上位モデル。フルHDパネルに加えて、倍速表示を採用。x.v.Colorにも対応する

 今回のテストには、わが家の自称「極小シアタールーム」を使用。広さは6畳程度であるものの、スピーカー下の床を抜いて地面から直接重量ブロックを積み上げたり、両サイドの壁面に反響板を設置して音響特性をそろえるなど、ホームシアター系のテストにはおおよそ適した環境となっている。

 この部屋のスクリーン面にパナソニック製の37型フルハイビジョン液晶テレビ(TH-37LZ85 オープン価格)とラックを設置。基本的にスピーカーはラック上に配置しているが、ラックからの音質的な影響を最小限にとどめるよう、インシュレーターなどを適宜利用して公正な判断をもくろんだ。

 また電源タップ(AT-PT707 オープン価格)やHDMIケーブル(AT-EDH1000/1.3 2万3625円)、光デジタルケーブル(AT-SDP2000/1.3 1万8900円)にはオーディオテクニカ製の高級モデルを使用。配線や電源による音質の劣化も最小限に抑えた。


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