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» 2008年08月06日 18時54分 公開

第4回:部屋に合わせて形を変える、パイオニア「HTZ-373DV」サラウンドで北京五輪を堪能する(2/2 ページ)

[野村ケンジ,ITmedia]
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 このような設置の柔軟さを支えているのが、パイオニア独自の自動音場調整機能「MCACC」だ。専用マイクで実際に室内音響をチェック、フルオートで最適なサラウンド空間を実現するこのシステムによって、どの設置バリエーションでも理想に近い音響セッティングをいとも簡単に導き出すことができる。MCACCは高級AVアンプからスタートした機能だが、簡単さが求められるエントリー機こそ本領を発揮するもの。この設定の簡単さは多くの人が便利に感じることだろう。またメニューから数値の細かい調整も行えるため、本格的なシアターシステムを持っている人も充分納得できるはずだ。

photophoto 自動音場調整には専用のマイクを使う。パイオニア独自技術MCACCは幅広いモデルに搭載されているが、HTZ-373DVでもその優秀さを証明した(左)。スピーカー端子はコネクタ式で分かりやすい。入力端子はテレビ用に光デジタルが1系統用意されるほか、アナログも1系統備わる。映像出力はHDMIのほかD2端子とコンポジットが用意されているため、汎用性は高い(右)

 実際の設置に関しては、機器間の接続はほとんど手間はないものの、スピーカーが6+1個あるため、配線は多少煩雑となる。ただ同梱されているスピーカーケーブルは、DVDプレーヤー側がコネクタ式であるうえに色分けもされているため、接続に迷うことは一切ない。じゅうぶん「お手軽」の範囲に収まる内容だった。

ユーザビリティーチェック

 音響設定に関しては、とにかく楽ちんというイメージ。測定には2分前後というちょっとした時間が必要だが、その結果得られるサウンドを考えれば納得のできるレベル。その後に細かい調整ができるのもうれしい。セッティングの使い勝手に関しては、文句の付けようがない優秀さだ。

photophoto オンスクリーンメニューが用意されているので、各種の設定はとてもやりやすかった。HDMI映像出力画面では最高1080pまでのアップコンバートが設定可能となっている

 それだけにとても残念に思ったのが、HDMIリンクに対応していないこと。HDMIでテレビと接続しても、テレビ側のリモコンから操作することはできない。まあHTZ-373DVは単なる外部スピーカーではなく、DVDプレーヤーでもあるわけだから、プレーヤーのリモコンで音響もコントロールできると考えれば、かえって便利だと思うべきかもしれない。

 リモコンに関しても、少々不満を持った。ボタンの配列や種類などはよく考えられており、操作に迷うようなことはなかったのだが、いかんせんボタンが小さいうえに、押したときの感触があまりにもチープ。HDMIリンクがなくよく利用するリモコンだけに、もうちょっとスマートさがほしかった。

photo リモコンは多数のボタンが並ぶ多機能タイプ。テレビのコントロールもできるので、普段はこちらを主に使うと便利。それにしても操作フィールがいまひとつなのが残念

サウンドチェック

 サウンドに関しては、とにかくサラウンド感のすばらしさが際だっていた。今回のテストでは、まずリアにもスピーカーを置くリアルサラウンド設置をしてみたのだが、MCACCの自動調整だけで充分満足できる、360度すき間なく囲まれたサラウンドフィールドが誕生する。とくにテレビから両側の壁、リスナーの斜め後ろまでの切れ目のないスムーズさは見事。定位もしっかりしていて音の揺れが一切ないため、安心してコンテンツに没入できる。

 テレビ両側にスピーカーを3つずつ置くフロントサラウンドも試してみたが、こちらもなかなか。後方までのサラウンド感は確かに薄れるが、それも先にリアルサラウンド配置を聞いているから。フロントサラウンドしか体験していなければ、こちらでも充分と思っただろう。

 それに対して音質は、「お手軽サラウンド」の域を出ていないレベル。解像度、分解能ともにあまく、小サイズフルレンジスピーカーの弱点が垣間見られる結果となった。けれどもそれは、今回試聴した他社の製品のなかに「望外」なクオリティを持つものがあったせいだろう。HTZ-373DVの標準以下なのではなく、標準的だということ。サラウンドの素晴らしさを加味すれば、けっして悪い選択肢ではないと思う。

 音色傾向は、どちらかといえばナチュラル派。メリハリを強調することなく、自然なサウンドを聞かせようとする趣向は、この手のサラウンドシステムには珍しいタイプだ。しかしそういった方向性では地味に感じてしまう人が多いと考えたのか、デフォルトでバスブーストがオンになっており、かなり低音が強調されていた。正直な感想をいえば、この音色と盛大な低音はメインスピーカーの音色に合っていない。オフにした方が、バランス的には良好だと思う。こちらは好みで使い分けることをお勧めする。

お勧めしたいユーザー

 設置する部屋にいろいろな物が置かれていたり、複雑な構造になっていたりと、環境的に不利な人にとってはかなりの恩恵をもたらしてくれる製品といえる。また、今はフロントサラウンドだが、いずれはリアスピーカーもきちんと置いてリアル5.1チャンネルを楽しみたいという人にとっても、うれしい内容に感じられるはず。単純にリアルとバーチャルの違いを知りたい、という人にとっても興味深い製品だと思う。

 HTZ-373DVならではの設置に関する柔軟性を生かし、さまざまな部屋で活用してみたい。

photo XW-1」

 HTZ-373DVには、オプションとしてワイヤレスリアスピーカー「XW-1」が用意されている。音質劣化のない「デジタル伝送方式」を採用したこの製品を活用することで、リアスピーカーへの配線が不要になるうえ、別の部屋に持ち運べばセカンドフィールド・スピーカーとして同時にサウンドを楽しむことが可能。環境によってはとても魅力的な製品だ。価格はオープンプライス。


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