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» 2008年10月15日 19時09分 公開

ていねいに作り込まれたBDレコーダー、ソニー「BDZ-X100」で観る「最高の人生の見つけ方」山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.25(2/2 ページ)

[山本浩司,ITmedia]
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 では、再生画質について見ていこう。BDZ-X100の再生画質を司るエンジンは、すべての信号処理ブロックで14ビット精度を実現した新開発LSI「クリアス」(CREAS)。本連載でとりあげたBDプレーヤーの新製品「BDP-S5000ES」に搭載されたのと基本的に同じもので、「HDリアリティエンハンサー」「ピクチャーコントローラー(クロマアップサンプリング)」「スーパービットマッピング」という3段構成の高画質回路で構成されている。

 HDリアリティエンハンサーは、画像解析ブロックを用いて1フレームごとに適応的にフィルタリングとエンハンス処理を行なって解像度とS/Nを上げる仕事を果たす。と同時に、8ビット(256階調)のオリジナル映像を14ビット(16384階調)の信号につくりかえる役割も担うのだが、この14ビット信号をそのまま表示できる家庭用ディスプレイは現状では存在しない。

 そこで登場するのが、スーパービットマッピング。これは、音楽CDでお馴染みの善玉ノイズを足してビット拡張を図る手法を映像信号処理に応用したもの。ビット変換によって生じるデジタルノイズを超高域に追いやり、人間の目にはノイズとして認識できない、その高周波領域の量子化誤差を足し込むことによって、14ビットの高階調をほぼ維持したまま、表示ディスプレイに合わせて12/10/8ビットの信号を送り出すという技術である。

 ピクチャーコントローラーは、色の境界情報から色にじみのない映像信号をつくりだすソニー独自のクロマアップサンプリング手法を指す。

 ディテールエンハンスによる解像感の向上とスーパービットマッピング処理による階調創造、それにソニー流クロマアップサンプリングによる色にじみの改善。以上がCREASを特徴づける高画質要因としてまとめられるが、DRモードの録画映像、BD ROMの再生映像ともに、じつにスムーズでキレのよい画質を提示する。微小信号の再現性に優れるDMR-BW930のほうが「パッと見」のコントラスト感に優れ、思わずハッとさせる訴求力を持っているが、BDZ-X100の落ち着いたたたずまいの「大人画質」もたいへん好ましいと思う。

 DRモード/BD ROM再生時の音質については、シャーシ強度を上げたBDZ-X100のほうがDMR-BW930よりも明らかに本格的なサウンドを聴かせる。またHDMI出力、アナログ出力ともに、位相ゆがみを引き起し音質を劣化させるジッター(時間間隔のゆらぎ)低減のための方策に万全の構えが採られているのもBDZ-X100ならでは。なるほど、BDZ-X100はいねいにつくりこまれた製品ならではの、伸びやかでゆがみ感の少ない、フレッシュなサウンドを聴かせるのである。

photophoto ジッタノイズ低減システム搭載のHDMI基板(左)。ジッタエリミネーション回路搭載のアナログ回路独立基板(右)

 今日のところは、再生画質は小差でDMR-BW930が、音質はBDZ-X100が大きく上回る印象。とにかくこの秋のBDレコーダーで、ダントツの魅力を持つ2モデルといって差し支えないだろう。

 また、実際にBDZ-X100を使ってみてこれはいいなと思うのは「x-おまかせ・まる録」。自分の好きなジャンル、キーワードを登録しておけば、自動的にそれに類する番組をどんどん録りためてくれるというインテリジェントな機能である。ふだん番組表をろくに見ないぼくなど、「あ、こんな番組を録ってくれてるなんて、X100、おれのこと分かってるなあ」とつい感心してしまうのである。

photo BD「最高の人生の見つけ方」は4980円。販売元はワーナー・ホーム・ビデオ (c)2007 Warner Bros.Ent.All Rights Reserved

 さて、そんな魅力を持つX100で体験して、とても楽しかったBD ROMが、ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンという70代の名優2人が共演する映画「最高の人生の見つけ方」である。

 末期ガンの大病院の経営者(ジャック・ニコルソン)が、自らの経営方針により同じくガン患者の自動車修理工(モーガン・フリーマン)と相部屋となって入院する。2人はそのキャラクターの違いのより最初は反目し合うが、徐々に心を通わせるようになり、死までの残り少ない時間をこれまでやりたくてできなかったことに挑戦して一緒に過ごすことに。例えば「壮大な風景を見る」ために2人はヨーロッパやアフリカ、インド、ネパールを飛び回ったりするわけである。

 金満家のアメリカ人、死ぬ間際までいい気なもんだという不快感を抱かせないではない脚本だが、チャーミングな年寄りを演じさせたらピカイチの2人だけに、“死”への恐怖を“生”を充実させることで克服するというアメリカ人ならではの「前向きな」姿勢に、観ているうちに共感させられてしまう。

 BDZ-X100で観る本作の魅力は、ロケとセットで作り込まれた世界各地の壮大な風景にある。ノイズを目立たせず、キレのよさと深みのある色再現で見せるそれらの風景は、まさにハイビジョンソフトならではの“眼幅”。また、本作の音声仕様は残念ながらHDオーディオではなく、6.1チャンネルのドルビーデジタルEXだが、響きのよさを訴求するBDZ-X100は、HDMI出力においても流麗な音楽や派手な効果音をじつに見事に描き出す。ていねいにつくりこまれたBDレコーダーで観る、良質なハリウッド映画の楽しさを満喫した97分だった。

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