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第14回 時を告げるiPhoneに覚える興奮──「Orb Clock」松村太郎のiPhone生活:ユーティリティ

» 2008年11月24日 13時00分 公開
[松村太郎,ITmedia]
Photo 針ではなく穴で時間を表示する、何とも不思議な時計「Orb Clock」

 「Orb Clock」を起動すると、“穴”によって時間が表示される。大きな穴は短針と同じ「時」を示し、中くらいの穴は長針と同じ「分」を表す。最も外側を回る小さな穴は秒針だ。それ以外に、2つないし3つの穴が、金属のようにも見える板の上を移動する。そして穴が別の穴に近づくと、形を変えて穴が融合し、また離れていく。

 僕は寝しなに枕元のiPod対応ラジオクロックにiPhoneを置いて充電し始めるのだが、そのタイミングでOrb Clockを起動する。そしてしばらくその穴の動きを眺めながら、リラックスして眠りに就くのが最近の日課となっている。

 あまり見続けていると、穴が移動して融合して離れる、という物理的にはなかなか起こらない表現に興奮を覚えるので、ほどほどにする必要がある。ちなみに、Orb Clock起動中は、iPhoneはスリープにならないので、ずっと時計として利用できる。

 このアプリを開発したHMDTは、この連載でも紹介した「駅探エクスプレス」、Macのテンキーになるアプリ「NumberKey」、ハドソンの「Catch The Egg」などのアプリ実装を手がけた実績があり、Orb ClockはHMDTブランドとしては初めてのアプリである。

 HMDTの木下誠氏は、Orb Clock開発の経緯をこう語った。

 「アイディアはiPhoneが登場したときからありました。時計は針で時間を表してきました。でもコンピュータのディスプレイは、それにとらわれる必要はありません。だったら穴を動かしてみよう、という発想です。周期的な動きをしながら、カオティックに変化する形状。くっついたり離れたりという穴の動きは、その都度計算をしています。なめらかに動かすチューニングに苦労しました」(木下氏)

 HMDTの強みはMacのプログラム開発から培ってきたユーザーインタフェースの開発と実装。iPhoneでもそのノウハウを簡単に持ち込むことが出来たそうだ。そしてデザイナー・オリエンテッドなグラフィック プログラミングの手法を生かして作られたOrb Clock。見続けるとなんだか楽しくなってきてしまう源泉は、この手法にあった。

 「プログラマが『できない』というと、デザイナーの発想はそこで全て止まります。せっかく物理的な制限がないiPhoneなのだから、自由に発想すべきで、デザイナーは技術的な制約を考えるべきではありません。技術で解決するところに新しいチャレンジがあり、SDKによって80%のポテンシャルを引き出せるようになったiPhoneアプリの面白い部分だと思います」(木下氏)

 木下氏は一連の作業を「テクニカルなトライアウト」と表現する。HMDTはまだまださまざまなアプリを世に送り出そうとしている。もしかしたら、次はあなたのわがままをかなえてくれるかもしれない。

プロフィール:松村太郎

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東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。


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