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Tzero、1080/60p伝送を可能にした「ZeroWire2.0」を投入ワイヤレステレビの主導権争い(1/2 ページ)

» 2008年12月03日 18時58分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 「ZeroWire2.0」のチップ

 米TZero Technologiesは12月3日、第2世代となる新しいワイヤレスチップセットを含む「ZeroWire2.0」ソリューションを発表した。ワイヤレス対応の薄型テレビが増える中、いち早く1080/60pの伝送を可能にした製品を投入することで主導権争いで優位に立つ狙いがある。2009年の第2四半期に量産出荷を開始する予定だ。

 同社は昨年、UWBを用いたワイヤレスソリューションを発表し、10月に発表された日立製作所の「UTシリーズ」に採用されている。UWBの周波数帯のうち、 “Lower Band”と呼ばれる低い周波数帯(3.1GHz〜4.48GHz)の一部を使用し、アナログデバイセズのチップで入力信号をリアルタイムにJPEG2000変換。エラー発生時でも素早く復帰できる信頼性とブロックノイズが原理上発生しないという画質的なメリットを実現していた。テレビ向けワイヤレス技術としては唯一、WiMediaアライアンスから認証を受けている点も特徴だ。ただし、映像伝送は1080iが上限となる(→インタビュー記事)。

 新しいZeroWire2.0では、基本的な無線技術は従来のまま、映像圧縮にH.264を採用することで1080/60pの映像伝送を可能にした。リンク速度は480Mbps、見通し20メートル以上の距離でもフルハイビジョン映像と7.1チャンネルまでのマルチチャンネルオーディオを伝送可能だ。また、従来通りHDMI CECの信号も一緒に伝送可能。圧縮行程が入ることで懸念される遅延に関しては、「1フレーム未満」(同社)に抑えたという。「ゲーマーでもテレビがワイヤレス接続されていることに気がつかないだろう」(同社)。

photophoto ブロック図(左)。伝送距離とスループットのグラフ(右)

 このほか、同社のリファレンスデザインでは従来製品の特徴でもあったUltra MIMO(MIMO:Multiple Input Multiple Output)のアンテナが内蔵され、独立していたコンポーネント(チップ類)も削減してコンパクト化。ファームウェアの改善により干渉の影響を抑えつつ、レンジ拡大と信頼性の向上を両立させているという。

photophoto デモンストレーション。「Playstation 3」で再生したBDの映像と音声をHDMIスプリッタで分岐し、有線のHDMI接続とワイヤレス接続の映像を同時に上映してみせた

 デモンストレーションでは、「Playstation 3」で再生したBDの映像と音声をHDMIスプリッタで分岐し、有線のHDMI接続とワイヤレス接続の映像を同時に上映してみせた。確かに遅延は視認できないレベルで、圧縮した映像も発色の傾向は少し変わるものの遜色は感じない。また何度か人がテレビの前を横切っても映像に乱れは生じなかった。

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