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ソニーに聞く、BDレコーダーの「2011年画質」とは?(1/4 ページ)

» 2009年01月05日 16時25分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 各社がMPEG-4/AVC録画機能を搭載し、スペック的には横並びに近い状態になった現在のBlu-ray Discレコーダー(以下BDレコーダー)。それだけにメーカーの個性が生きてくる時代ともいえる(関連記事)。

photo 左からオーディオ・ビデオ事業本部ビデオ事業部2部1課の末永信一エンジニアリングシステムマネジャー、CREASの設計を担当した同事業部門システム設計部1課の濱田敏道シニア・システム・デザイナー、ホームAVマーケティング部ホームビデオMK課の中村芳彦マーケティングマネジャー

 中でも「2011年画質」というインパクトの強いキーワードを打ち出したのがソニーだ。新しい高画質処理回路「CREAS」(クリアス)を搭載し、他社製のテレビに接続しても画質が改善されるとうたっている。CREASの開発コンセプトとその仕組みについて、また製品レビューを通じて感じた疑問について、同社開発陣に詳しい話を聞いた。インタビューに応じてくれたのは、同社オーディオ・ビデオ事業本部ビデオ事業部の末永信一氏、同じく濱田敏道氏、そしてマーケティングを担当するホームAVマーケティング本部の中村芳彦氏だ(以下、敬称略)。

――まず、BDレコーダーの新モデルでイチオシの機能となっている「CREAS」(クリアス)について聞かせてください

濱田: デジタル放送でのハイビジョン放送が当たり前になりつつありますが、ハイビジョン放送だから綺麗という時期はもう過ぎていると思うんです。われわれが考えているのは放送される前のオリジナルの映像をいかに再現するか、です。例えば放送用の映像は10ビット処理で収録されているのですが、デジタル放送では全て8ビット処理されてしまいますし、これはBD-ROMでも同じで、階調方向は情報が切り捨てられてしまっているんです。さらにMPEGやAVC圧縮でディテールも失われてしまいます。これらの失われた情報を再生時に再現して、よりオリジナルの映像に近づけたいというのがCREASの基本コンセプトです。

 CREASは内部で14ビット処理を行っています。HDMIの最新規格に含まれるDeepColorでは12ビット伝送ができるのですが、放送やBDが8ビットなので冗長な状態になっているんですね。12ビット伝送を使いきれている製品はない。そこで14ビット処理で失われた情報を再現して、DeepColorの機能をフルに使ってやろうじゃないかと、そんな所が出発点になっています。

 ただし、ここまでですと、DeepColorに対応したテレビでないとCREASのメリットがないことになります。そこで8ビットや10ビット伝送の少し古い規格のHDMIに対応したテレビでも、14ビット処理の実現するスムーズな階調表現が再現できるように特殊な階調変換処理であるスーパービットマッピングを組み合わせています。もちろんDeepColor対応テレビと接続した場合にも12ビットへの変換時にスーパービットマッピングを使っています。つまりHDMI入力に対応したハイビジョンテレビが全てCREASでキレイになる訳です。

photo ソニーの現行BDレコーダーにはすべて「CREAS」が搭載されている。写真はハイエンドモデルの「BDZ-X100」

――CREASの効果が具体的に分かりやすいのはどんな場合でしょう?

濱田: 例えば同じタイトルのBDビデオと放送を見比べると、その違いが良く分かると思います。BDビデオでは微妙なグラデーションもしっかり映像として表現されている部分が、デジタル放送だと等高線のような縞模様になってしまう場合が多いんですね。いわゆるバンディングです。これもCREASを使うと見てすぐ分かるくらい、BDビデオの映像に近づきます。

――最近では、テレビ側にも最終出力段階で高画質化のためのさまざまな機能を備えています。あえてレコーダー側にここまでの高画質化機能を組み込んだ理由は何なのでしょうか?

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