米Sony Electronics(以下、米ソニー)は1月7日、「2009 International CES」開幕前日のプレスカンファレンスで、18モデルの液晶テレビを含む新製品群を発表した。なかでもユニークなのは、“Eco BRAVIA”をうたう「VE5シリーズ」だ。
VE5シリーズが大幅に消費電力を削減できた最大の理由は、独自開発の新型バックライトにある。といってもLEDではなく、一般的なCCFLでもなく、HCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp:熱陰極管)を初めて液晶テレビのバックライトに使用している。HCFLは一般的な蛍光灯と同じ仕組みで、高効率ではあるが構造上電極を小さくすることが難しい。このためバックライトには適さないとされてきたが、同社は小型化を実現した。
また、待機電力を0ワットにするという「Eco Switch」や、ユーザーがテレビをつけたまま席を外してしまった場合でも、人がいないことを検知して自動的に電源を切る「Presense Sensor」を装備。もちろん周囲の明るさに応じてバックライトの輝度を調節するLight sensorも採用しており、これらの機能によってVE5シリーズは同クラスの既存製品に比べて40%もの省エネを実現したという。
VE5シリーズは40V型、46V型、52V型の3サイズをラインアップしており、パネル解像度はいずれもフルHD。120Hz駆動の「MotionFlow」に対応し、映像エンジンとして「BRAVIA Engine 2」を搭載する。2009年夏ごろに北米市場で発売される予定だ。
一方、新しい映像エンジン「BRAVIA Engine 3」を採用したのが、「VBR9」シリーズと「Z5100」シリーズだ。MotionFlowはXBR9の32V型を除いて240Hz駆動に対応。ウィジェット機能の「BRAVIA Widget」、「Yahoo! Video」などがテレビ画面で利用できるインターネット動画機能、DLNAクライアントといったネットワーク関連の機能も充実している。
このほか、フルハイビジョンのベーシックモデル「V5100」「S5000」シリーズ、720pのパーソナルサイズ機「L5000」シリーズも発表された。
BRAVIA以外の薄型テレビ関連展示として見逃せないのが、21V型の有機ELテレビだ。今回は詳細を聞くことはできなかったが、製品化済みの11V型(XEL-1)とCEATECなどでもおなじみの26V型プロトタイプの中間のサイズになることもあり、開発の意図を含めて背景が気になるところ。
また、液晶テレビを使った家庭向け3Dテレビも参考出展していた。こちらはPDPとアクティブシャッターメガネを使っていたパナソニックと異なり、偏光メガネを使用するパッシブ型だ。ただし、細かい仕様は非公開で、製品化のスケジュールなども未定という。
ソニー、オーディオ・ビデオ事業部事業開発部門の島津彰事業部長によると、「ソニーは業務用カメラやデジタルシネマ分野では既に3D対応の製品を持っている。今回のデモは、将来的にBRAVIAを含めて3D対応を検討していく意志を示したもの」という。
「3Dコンテンツを収録するBDや、大容量の3D映像データを伝送できるHDMIの仕様など、先にクリアしなければならない課題もある。あくまで一般論としてだが、家庭に3Dシステムが普及しはじめるのは2010年以降になるだろう」(同氏)。
なお、今回の参考展示にあたっては、ソニー・ピクチャーズをはじめ、ディズニーやFOX、ドリームワークスといったメジャー映画スタジオが軒並みコンテンツ(3D映画素材)を提供しており、映画業界の期待の高さがうかがえる。またスポーツやゲームを使ったデモンストレーションも行われ、家庭用3Dテレビの有力コンテンツとして映画を含む3つのジャンルが検討されていることが分かった。
このほか、ソニーブースではHDDカムコーダーや新型ウォークマン、新しいデジタルフォトフレームなどが数多く展示されている。これらの新製品については別途リポートを掲載する予定だ。
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