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Cell搭載で「REGZA」の画質はどう変わる?――東芝ブース本田雅一のリアルタイム・アナリシス(1/2 ページ)

» 2009年01月09日 09時04分 公開
[本田雅一,ITmedia]
photo 東芝ブースの「Cell TV」。LEDバックライトを搭載した55V型

 東芝は毎年、「International CES」でその年に発売する「REGZA」の機能を先行して公開してきたが、今回もその期待は裏切らなかった。昨年の「CEATEC JAPAN」でも展示されて話題になった高速プロセッサCellを活用した次世代REGZA(通称、Cell TV)を、さらに具体性のあるものとして展示している。注目のCell TVは、今年秋にもREGZAの最上位シリーズとして投入される予定だ(→Cellテレビが秋に登場、1週間の番組を“まるまる録画”)。

 今回、CES会場に展示されたCell TVの試作機は、エリア制御機能付きLEDアレイバックライトを装備している。詳細な液晶パネルスペックは公開されていないが、解像度はフルHD、液晶パネル方式はVA型だと思われる(ほかに4K2Kパネルと組み合わせたCell TVのデモもある)。LEDのエリア制御を行うことでコントラストは最大100万:1に達するが、注目したいのはその制御が非常にダイナミックなものでありながら、大きな違和感を感じさせないことだ。東芝はバックライトのエリア制御を行うモデルを別途展示しているが、Cell TVのそれはさらに高い完成度を示していた。

 東芝、デジタルメディアネットワーク社でREGZAの商品企画を務める本村裕史参事によると、Cell TVではエリア制御のアルゴリズムもCellによる映像解析処理を元に、より優れた制御手法を用いてシステムを構築しているとのこと。バックライトのエリア制御は自然さを優先するとコントラスト拡張効果が薄れ、コントラスト拡張効果を重視すると不自然な制御が鼻につき始めるが、Cell TV版のエリア制御にはそれがない。

photophoto Cell Boxと呼ばれる別体チューナー。ディスプレイとはWireless HDで接続する。展示していたのはモックアップとのことだが、背面には4K2Kディスプレイと接続するための4つのHDMI出力が並んでいた

 本村氏は、「REGZAは新しい機能を導入する際、常に”ホンモノ”といえる領域まで開発を進めてから投入してきました。今回のバックライト・エリア制御も同じです。Cell非搭載モデルのバックライト・エリア制御も十分に完成度を高めたものになっていますが、Cellを活用することで高画質、高コントラストと自然さの両立をさらに突き詰めることができました」と胸を張る。

 さらに現行のREGZAで超解像LSIを用いて処理されている”レゾリューションプラス”は、すべてCellプロセッサで処理される。基本的なアルゴリズムは、再構成法といわれる従来と同じものだが、ソフトウェアによる実装を行うことで、より柔軟性を増しているのが特徴だ。

 例えばYouTubeなど低解像度、低画質のネットコンテンツに対して専用の超解像処理を行う「ネット動画超解像処理」が組み込まれている。これはネット動画にみられる大量のブロックノイズをCellのパワーで低減し、さらに大画面での視聴に耐える超解像処理を行って表示する。もちろん、超解像といっても限界はあるため、ハイビジョン並みの情報量が浮かび上がってくるわけではないが、適切なノイズ処理と超解像、それにエッジスルーレートを高める処理によって、かなり見やすい画質になっていた。

photophotophoto YouTubeなどのネットコンテンツを想定したデモンストレーション。左が480×360ピクセルの実サイズ(dot by dot表示)で、中央は通常のスムージング、右が超解像処理

 また、1440×1080ピクセルの動画をフルHDに拡張する従来のレゾリューションプラスが持つ機能に加え、デジタルの標準画質放送やDVDの720×480ピクセルの映像に対しても、適切な超解像処理を行うよう改良したという。

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