「2009 International CES」開幕初日、前日のマイクロソフト・スティーブ・バルマーCEOに続いて基調講演を担当したのは、2006年以来2年ぶりに登場したソニーのハワード・ストリンガーCEOである。講演全体を通せば、歴代のソニーが担当してきた基調講演と同様、自グループが抱える映画や音楽といったエンターテイメントの分野から多くのゲストを迎えた華やかな演出が目立った。
2年前と同じく俳優のトム・ハンクス氏(前回は「ダヴィンチ・コード」にちなんでいたが、今回はその続編である「エンジェルズ&デーモンズ」の公開を前にしての登場)や、トップR&Bシンガーのアッシャー氏を迎えての演出はエンターテイメントイベントとしては、すばらしいものだった。
しかし、ストリンガー氏が訴えたかったメッセージは実にシンプルなものだった。それは空想を思い描き、それを実現しようとポジティブに前へと進んでいくことの大切さだ。
ストリンガー氏は「子どもの頃、私は空想することでどんな人にもなれた。しかし、人はいつしか大人になるにしたがって空想することをやめ、自分で限界を作って“不可能”との判断を下しがちになる。しかし、われわれは不可能という言葉を信じない。今までも、そしてこれからも空想することの力を信じていく」と、基調講演の最後に語りかけた。
この結びの言葉はストリンガー氏の呼びかけであると同時に、今の、そしてこれからのソニーが挑戦しなければならないテーマを示している。
冒頭、同氏は「ソニーはかつて、HD(高精細)にこそ未来があるといった。ワイヤレスに未来があるともいった。そしてBlu-rayが家庭に最高のHDコンテンツを届けるといった。そして、そのすべてを実現してきた」と話す。確かにストリンガー氏がいうとおり、それらの実現にソニーが深く関わってきたことは確かだろう。
そうしたソニーなりの自負が、これからも夢の実現に向けての手伝いができるという投げかけにつながっている。現在、いうまでもなく世界的な大不況により市場は混乱しているが、そんな中でも未来を空想すること。そして、空想の世界を現実のものにしていくのだという、ソニーの決意を示しているのだろう。
その一例として自社の製品をいくつか紹介したが、新製品の紹介が本質でないことは明らかだ。自分たちはやろうと思えばできるのだ。もっと前向きになろうと呼びかけるが、しかし、今後の発展を確実なものとするために必要な7つの条件(CES Sevenと呼称)をストリンガー氏は挙げた。
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