前回の当連載では、絵がらに合わせてエリア別にLEDバックライトの光らせ方を変える液晶テレビ、シャープ「LC-65XS1」をとり上げたが、今回は同じ手法を用いて同様に“ダイナミックコントラスト”100万:1を実現した、ソニーの46V型液晶テレビ「KDL-46XR1」に迫ってみよう。
昨秋のソニーBRAVIAの攻勢は凄かった。それぞれ「最強」をうたった4つのシリーズをラインアップ、ソニー液晶テレビの本気を満天下に示した。すなわち「BRAVIA史上最高画質のXR1」「世界最薄のZX1」「世界最高リアリティのX1」それに「世界最速のW1」の4シリーズである。そして、この2月には、HCFL(熱陰極管)による低消費電力バックライトを採用した「世界最高省エネ性能のV5」が加わる 。
LED光源をパネルの4辺に配し、導光板を用いて画面全体を光らせることで最薄部9.9ミリを実現したZX1、残像低減効果がもっとも高いとされる240Hz駆動を実現したW1、従来使い慣れた冷陰極管を用いて最新の信号処理回路「ブラビアエンジン2プロ」を投入したX1と、それぞれ耳目を集める要素をフィーチャーしていたが、やはり「BRAVIA史上最高画質」のXR1こそ、熱心なAVファンにとっていちばん気になるモデルではないかと思う。
XRシリーズは、55V型と46V型の2モデルが発売されているが、ここではじっくり画質をチェックする機会のあった「KDL-46XR1」について述べてみたい。
振り返ってみると、ソニーがLEDバックライトを搭載した液晶テレビを発売したのは、本シリーズが初めてではない。2004年に登場した液晶テレビ「QUALIA005」に初搭載、その後発売された70V型の巨大液晶テレビ「KDL-70X7000」にも積んでいた。しかし、この2 モデルはエリア制御型ではなく、常に全画面を光らせる全面点灯型(ZX1も同様)。まず色の鮮やかさを狙って、色再現範囲を広げることができるLED光源を使うという考え方で仕上げられていたのである。
いっぽう本機のバックライトは、先述したようにエリアごとにRGB(Gは2つ)をパッケージングして部分制御できるLEDである。その3原色のLEDを同時に光らせて白色光源をつくり、入力される映像信号に合わせて個別に明るさを変えて駆動するという手法がとられている。
例えば、夜の闇を表示しなければならないエリアでは、バックライトを点灯させないので、文字通り“漆黒”が表現できる。CCFL(冷陰極管)で画面全体を均等に光らせていた従来の液晶テレビでは、夜の闇を描くときも光漏れによる黒浮きから逃れることができなかったわけで、LEDバックライトをエリア制御する本機の圧倒的アドバンテージが、この黒の黒らしい表現にあることがお分かりいただけるだろう。
“BRAVIA史上最高画質”をうたうXR1、映像信号処理回路も最新の「ブラビアエンジン2 プロ」が搭載されている。それぞれの画像に合わせて解像度を再創造するソニー独自のDRC(デジタル・リアリティ・クリエーション)は、DRC MF Ver.3に進化、より自然な解像感とS/N感の改善を果たしているという。実際にその画質をチェックしてみると、I/P変換性能の向上が明らか。ちらつきが目に見えて減っている。本機のオーナーは、BDレコーダーのHDMI出力解像度を、1080pではなく1080iに設定して見たほうがより高画質で楽しめるに違いない。
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