1995年にカシオが発売した「QV-10」を契機として、急速な普及を開始したデジタルカメラ。その後、レンズ交換が可能な一眼レフタイプと、携帯電話など他のデジモノ家電に組み込まれるビルトインタイプも現れたが、販売の主力はいまも変わらずコンパクトタイプだ。
そのコンパクトタイプも、最近までは撮像素子の性能向上とスリム化を中心に新機種開発が行われていたが、もはや飛躍的な基礎性能向上は見込めないレベルにまで成熟が進んでいる。そうなると、「撮影」という本来の機能に加え、撮影した画像をどう美しく/使いやすく提供するのか、ポストプロダクションの行程までカバーしようとする現在のトレンドも理解できる。
1月に発表されたオリンパス「μ-9000/7000」にも、その方向性を見いだすことができる。上位モデルのμ-9000は薄型ながら光学10倍直進式ズームレンズを搭載というスペックもさるものながら、顔検出機能で人物の顔を判別して肌を滑らかに見せるデジタル処理をほどこす「ビューティーモード」を搭載した点に注目だ。
ほぼ同時期に発表されたカシオ計算機「EX-Z400」は、別のアプローチでポスプロ機能を強化している。連続撮影した静止画をもとに簡易動画を生成、そこに背景を合成するというカメラ内動画作成機能「ダイナミックフォト」を搭載した。2008年夏発表の「EX-Z300」にも、肌を美しく見せる「メイクアップ」などのポスプロ機能が搭載されていたが、新しい画像処理エンジン「EXILIMエンジン4.0」の高速画像処理性能により、動画にまで枠を広げている点に新しさを感じる。
デジタルカメラには、さまざまな機能や要素を集約して組み込んだチップ「System On Chip」(SoC)が多数搭載されている。デジタルカメラメーカーが開発に関与した場合、画像処理エンジンと呼ばれることもあるが、ICベンダーが開発した汎用品を組み合わせ、目的とする機能を実現している機種も多い。今後は、デジタルカメラメーカーの動向のみならず、SoCのトレンドも要注目だ。
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