2006年秋に発売された「DMR-BW200」から始まり、「DMR-BW900」(2007年秋)、「DMR-BW930」(2008年秋)、「DMR-BW950」(2009年初頭)と、この3年間、ぼくはパナソニック製Blu-ray Discレコーダー「ブルーレイDIGA」のトップエンド・モデルを自室で使い継いできた。
他社製品と比べて、ハイビジョン番組の録画再生、BD ROMの再生ともに画質がいちばん優れていて、使いやすい(これは“慣れ”ということもあるが)からである。ただし、下位機との違いは、基本的にHDDの容量の大きさ(1テラバイト)だけというのが、いまひとつ不満だった(音声回路にはそれなりの手が加えられていたが)。
フラグシップ・モデルならではのプレミアムな提案。それを期待していたぼくにとって、先頃発表されたこの秋のパナソニックのBDレコーダーの最上位機「DMR-BW970」は、じつに興味深い製品だ。そう、トップエンド・モデルならではの斬新な提案が随所に盛り込まれているからである。
お盆休みの数日、発売前の試作機をお借りして、実際にぼくの部屋でDMR-BW970をチェックしてみた。詳細は後述するが、画質・音質とDMR-BW950をはるかにしのぐパフォーマンスが得られ、その進化ぶりに驚かされる結果となった。DMR-BW970は、これまでのモデルチェンジでもっとも大きなクォリティアップを果たしたモデルといっていいだろう。
今回のブルーレイディーガは全部で6モデル。下位機の型番とHDDの容量は、「DMR-BW870」(1Tバイト)、「DMR-BW770」(500Gバイト)、「DMR-BW570」(320Gバイト)、「DMR-BR570」(320Gバイト)、DMR-BR670V(320Gバイト)。DMR-BR570とDMR-BR670V以外は、すべてダブルチューナー仕様だ。なお、DMR-BR670VはVHS一体型である。
最上位機DMR-BW970のHDD容量は、ついに2Tバイトとなった。2T(2000Gバイト)というと、放送のストリームをそのまま記録するDRモード(ぼくはほとんどコレだ)で、BSの場合約180時間、地デジの場合は約250時間録画ができる。また、今回のディーガはAVC RECの8倍録画を実現。このHMモードを使うと1440時間の録画が可能になる(2層式BDに記録すると35時間)。
この秋は、各社ともにこの8倍録画モードを採用する運びだが、パナソニックはこのモードでもフルHD(1920×1080ピクセル)解像度を死守、平均3Mbpsという低レートながら、動きの激しいシーンに多くのビットを割り当てるなど、その可変幅を大きく取り、決定的な破たんを見せない工夫が施されている。しかし、実際にその画質を見ると、確かにぎりぎりまでノイズを目立たせず「頑張っている」のは分かるが、全体に画質が甘く、のっぺりとして冴えない。バラエティ番組などを単にタイムシフト視聴する目的ならオッケーかもしれないが、BDに焼くことを前提にHDD録画しているぼくは絶対に使うことはないと思った。各社の長時間録画競争、カタログスペックとして重要なのだろうが、皮肉でもなんでもなく「ご苦労さん」なことだと思う。
では、先述した下位機には盛り込まれないDMR-BW970ならではのプレミアムな提案について触れよう。まず画質面で「新リアルクロマプロセッサーplus」と「階調ロスレスシステム」が採用された。
前者は、同社PHL(パナソニック・ハリウッド・ラボ)で培ってきたアイデアを応用して開発された、クロマアップサンプリング技術の最新版である。従来からパナソニックは、参照画素を多く取ったマルチタップ方式でクロマ(色)信号をアップサンプリングし、色解像度の高さを訴求していたが、DMR-BW970のplus版は、2つのフィーチャーが追加された。
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