東芝“REGZA”の「ZX8000」シリーズは、この6月に発売されたREGZAの最上級モデル。薄型ディスプレイの最新トレンドとして注目されるLEDバックライトを搭載した新世代の製品であり、同じ“Z”を冠してはいても、ほかの2ライン(Z8000/ZH8000シリーズ)とは一線を画している。今回は特集の番外編として、1クラス上の製品にフォーカスをあてよう。
ZX8000では、他社製品のようにRGB(赤・緑・青)のLEDバックライトではなく、白色LEDを採用しているのが特徴だ。これは単純にコスト面を考えただけではなく、色表現に関しても“ねらい”があるように思う。
というのは、一般的に白色LEDは「色のダイナミックレンジが乏しい」といわれているが、ZX8000シリーズの映像を見る限り、そのような印象は全く感じられず、画面を分割してエリアごとに発光レベルを変えられるLEDならではのメリットを生かして、これまでになかった豊かな映像表現を実現しているからだ。
これは、東芝製映像エンジンの最新モデル「メタブレイン・プレミアム」の存在が大きいように思う。「もともと自信のある映像表現が、エリア調光を得てダイナミックさを獲得、さらなる表現の幅を獲得した」というのが、ZX8000シリーズを端的に表現する言葉として相応しい。
詳細は後半の試聴テストで報告するとして、まずは映像表現にまつわるテクノロジーと、それによって獲得した主なアドバンテージについて紹介していこう。
映像表現に関して、中心となっているのは前述のメタブレイン・プレミアムである。こちらは、2004年の「メタブレイン」から数えて第5世代にあたるもので、階調や質感、色彩表現にさらなる磨きをかけた。さらに、素早い動画をスムーズに表示する「Wスキャン倍速」や超解像技術「レゾリューションプラス2」、LEDバックライトのエリア分割調光をコントロールする「LEDバックライトコントロールシステム」、それらを視聴環境や映像の特徴によって統合的に自動コントロールする「おまかせドンピシャ高画質・プロ」などの新機能が追加されている。
新機能のうち、やはり注目はLEDバックライトだろう。一般的な液晶パネルは、蛍光管の光を透過して画面を表示するシステムのため、どうしても“黒浮き”という現象がつきまとう。それに対してLEDバックライトは、暗い部分はバックライトを消すことで、黒を黒としてきちんと表示できるようになった。しかも、点照明であるため、多エリアの光源コントロールが可能だ(ローカルディミング)。
先代からさらに進化した超解像技術レゾリューションプラス2も注目だ。1440×1080ピクセルの地上デジタル放送やDVDビデオなどのSD映像に加えて、プレーヤー側でアップコンバート済みのHDMI入力映像にも対応。ソフトに合わせて接続機器の出力設定を変えることなく、手軽に美しい映像を楽しめるようになった。
「Wスキャン倍速」は、コマ数を通常の2倍にする120Hz表示に、黒挿入を掛け合わせたユニークなシステム。これは下位モデルのZ8000にも採用されているが、LEDバックライトを採用するZX8000シリーズのそれは、ひと味もふた味も違う。蛍光感とは異なる細やかな黒挿入によって、動画ボケや残像など、液晶パネルならではの弱点をさらに低減している。
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