面白い番組を見つけたとき、リモコンの「d」ボタンを押すと、VoD(ビデオ・オン・デマンド)の画面が起動して過去の放送回を視聴できる。「CEATEC JAPAN 2009」の会場では、そんな便利な「放送通信連携IPTVサービス」の実証実験が行われていた。
IPTVフォーラムのブースでは、NHK、民放各社(フジテレビジョン、TBSテレビ、テレビ朝日、日本テレビ放送網、テレビ東京)、およびWOWOWが実際の放送を模した画面を公開。パナソニックが試作した同サービス対応のBlu-ray Discレコーダーを利用してデモンストレーションを行っている。NHKは5月の「NHK放送技術研究所一般公開」に続く展示となった。また、機器を提供したパナソニックのブースでも同様の展示を見ることができる。
最近は「アクトビラ」「ひかりTV」などのIPTVサービスに対応したテレビも増えているが、この放送通信連携IPTVサービスが実現すると、わざわざIPTVの画面を呼び出してコンテンツを探す手間がなくなる。また、VoD(ストリーミング)にくわえ、レコーダーのHDDなどにダウンロードすることも可能。オンエア中の番組に関連したコンテンツ、あるいは購入履歴などを参考にユーザーの好みに合わせたコンテンツを提供するため、ユーザーの利用頻度も高くなると期待されている。
ユーザーインタフェースとなるデータ放送画面は、既存のBMLを拡張したもの。新たに3つの関数を加え、画面上のボタンがIPTVサービスのトリガーになるようにした。また今回の実験環境では、VoDの部分に「アクトビラ ビデオ」の仕組みを利用するなど、技術的なハードルは低いという。
画質は「デジタル放送のIP再送信と同じ」(IPTVフォーラム)で、ストリーミング、ダウンロードともにH.264圧縮による約10Mbpsとなっている。ただし、ダウンロード用コンテンツは画質を重視してVBR(Variable Bit Rate)を採用した。
気になるのは放送通信連携IPTVサービスの開始時期。現在は、ARIB(電波産業会)で運用規定が検討されている段階で、2010年から2011年には対応するテレビやレコーダーも登場するとみられている。
ただし、サービスを提供する側には課題が残されている。例えばNHKの場合、放送法で放送と通信の切り分けが定められており、現状のまま放送通信連携IPTVサービスを提供するのは難しい。一方の民放は、有償・無償といった部分を含め、ビジネスモデルの確立が必須だという。
「ドラマなどの過去放送分を無償で提供し、視聴率アップのために利用するなど、すぐに始められるサービスも考えられる。それもすべて放送局の決断次第」(IPTVフォーラム)。
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