本田雅一のTV Style
シャープの「LED AQUOS」に注目する理由(1)
シャープが11月に発売する“LED AQUOS”「LX1シリーズ」、これがなかなか完成度の高い製品に仕上がっている。私は、これまでこの連載でほとんどシャープ製品を取り上げてこなかったことからも分かるように、これまで同社の液晶テレビで、あまりシックリとくる画質に出会ったことがなかった。しかし、今回は様子が違う。
こう書くと、LEDバックライトと新型配向の液晶パネルが良いの? と、決まってたずねられるのだが、バックライトのLEDは白色で色再現域が特別広いわけではなく、バックライトの部分制御(ローカルディミング)も行っていない(よく誤解があるが、色再現域は広すぎても絵作りが難しいので、広ければ良いというものではない)。従ってLEDだから印象が良くなったということはない。LEDの効果は画質ではなく、消費電力の面で有利に働いている。
しかし、もう一方の答えは正解に近い。新型のUV2Aパネルは開口率が上がって光の透過率がアップした上、漏れ光が少なくなり黒が引き締まった。要はコントラストが大きく広がったわけだ。
コントラストが広がれば、その分、絵作りの自由度は大きくなる。ローカルディミングを行わず、バックライトの明るさは固定したままでも、十分なレンジの広さだ。平均輝度の高い一般的なテレビ放送はもちろん、低平均輝度の映画でも十分に素のコントラストで勝負できる。特別なテクニックを用いなければ、絵作りのアプローチはとてもシンプル。匠(たくみ)の技をLSI上で動くソフトウェアとして実装し、高画質に見せる東芝のREGZAシリーズとは対照的なアプローチだ。
以前、シャープのエンジニアに、「液晶には弱点もあるのだから、弱点を緩和するような適応的な処理を行ってはどうか」と話したことがあったが、「動的な画質の調整を行うよりも、パネルの性能を上げて画質をよくする方向でやるのがシャープのやり方です」という答えが返ってきた。
黒が沈んだぶん、やや青に傾きがちだった暗部のホワイトバランスも、従来より安定してきており、暗部のホワイトバランスが不安定になる傾向も、かなり緩和された印象だ。絵作りそのものに巧みさはなく、シャープネスで持ち上げる帯域の設定など、少々注文したくなる面もあるにはあるのだが、小細工をしていないぶん、パネルの改善が素直にセット製品(テレビ)の画質へと反映されているという印象である。
加えて従来のシャープ製液晶テレビに感じていたギラつき感がかなり緩和され、視野角による色相の変化も(IPS方式ほどではないが)従来のASV液晶に比べるとかなり改善された。これだけ地力がついてきたのだから、従来の製品しか知らない目で見ると驚くのも当然というものだ。
「最高の画質になった」とはいわない(LX1は普及モデル)。しかし、高画質テレビとして比較する土俵の上にのったことは間違いないと思う。
だが、何より感心したのはシャープの自動画質調整機能「好画質(こうがしつ)センサー」と、軽快に動きつつ、分かりやすくなったユーザーインタフェースだった。好画質センサーの完成度は100%!とまでは行かないものの、確実に正しい方向へと向かっていることを感じさせるものだ(以下、次回)。
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