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ついに2番組同時のAVC録画、パナソニック「DMR-BW880」を試す(2/4 ページ)

» 2010年03月24日 21時53分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 ここまでビットレートが低いと、やはり画質が気になるところ。実際に録画番組を見てみると、前モデル(DMR-BW870)で導入された「HM」モードと同じく、ビットレートが低い割には優秀と感じる。もちろん万能というわけにはいかず、ソースがキレイで、動きが少ない映像というのが前提だ。より正確にいうと、スタジオ収録などで画面全体の揺れやノイズが少なく、MPEG-4/AVCの圧縮が有効に機能する番組であれば使える、といった印象。

 実写の場合、情報量はおおむねビットレート相応に落ちていく。例えばクロスフェードのシーンなどでは確実に映像が乱れた感じになり、画面全体が高速にパンするケースなどは、かなりディテールが失われてしまう。それでも、スタジオ撮りのドラマなどでは画質の破たんを感じることがほとんどないのは、ビットレート配分のうまさと再生系の補正が優秀だからだろう。もちろんDRモードと比較してしまうと全体に解像感は低く感じるし、アラも確実に多いのだが、屋内シーンの多いドラマなどコンテンツを選べば十分に活用できると思う。

photophotophoto 左からDRモード、HX(3倍)モード、HB(10倍)モードで録画した映像を一部を拡大したもの。HBモードではチョウの触角が影としか描かれず、後方の花や葉の描写もかなり甘くなる。それでもエッジの情報は確保しているし、羽の模様も大きくくずれていないのは立派

 一般的に実写より情報量の少ないアニメであれば、HBモードでも動きの激しくないシーンはほとんど破たんせず、グラデーションの表現も極めて優秀だ。例えば画面がゆっくりパンするシーンでは、あまり画質差を感じない。ただし、動きの大きなシーンになると話は違う。実写よりもエッジがハッキリしているぶん、エッジの乱れやブロックノイズが盛大に発生してしまうようだ。「HM」「HL」といった1〜2段上の録画モードとの画質差も実写よりハッキリと出るため、保存用として使うなら、まずDRモードで録画して(HDD内コピーの上で)録画モードの変換を行い、画質を確認した方がいい。

photophotophoto 左からDRモード、HX(3倍)モード、HB(10倍)モードで録画した映像を一部を拡大したもの。背景がパンしながら女性の髪がたなびくという、録画モードによる画質差が顕著に出るシーンだ。HXモードですらエッジの乱れが見られ、HBモードではほとんどの部分がブロックノイズ化してしまっている

 ほかの録画モードに目を向けると、初期のAVC録画に比べ、それぞれ1段階ずつ画質が向上している印象だ。前モデルで「新アドバンスドAVCエンコーダー」を投入してエンコードプロセスに大きく手が加えられた点も大きいはずだ。ただし、これでAVC録画だけでも録画モードが6つとなり、AVC録画を中心に利用するときは、どの録画モードを常用するかの判断も難しくなりそう。

 また、画質に関連する機能としては超解像技術も追加されている。設定では、「OFF」と「1」「2」の2段階の設定が可能。その効果はというと、確かにSD解像度の録画番組やDVDの再生ではエッジが立ち、メリハリのいい画質になる場合が多い。ただし、アニメで人物のロングショットなどではエッジが太くなりすぎて不自然に感じることもあった。とくに強度「2」では、エッジ部分にリンギングのような影が発生してしまうケースもある。大画面テレビで視聴するなら、多少のノイズ感よりもメリハリがあったほうが見栄えがすることが多いため、テレビ側で超解像表示を持たない場合には活用できそうだ。

photophotophoto 左から順に超解像OFF、1、2。OFFより1、1より2の方がエッジがハッキリしてメリハリの効いた絵になる。一方、ノイズっぽさやジャギーもメリハリに連動するように少々目立つようになる。眠たい画質よりいい、と感じる人なら有効に使えるだろう

 録画関係に関連する機能では、自動チャプターの精度向上に期待していたのだが、残念ながら変化は見られなかった。いくつかの録画番組で確認してみたが、CMと本編、CMと予告の境目にチャプターが設定されなかったり、CM間にチャプターが設定されるケースが散見された。もちろん現状の精度でも十分に便利に使えるはずだが、東芝や三菱電機の同等機種に比べると見劣りするのは事実だ。

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