これから薄型テレビを購入する人は、3D対応か、否かで悩んでいるかもしれない。将来性を考えると3Dテレビを選びたいところだが、まだ好みのコンテンツは見あたらない。そのために1歩を踏み出せずにいる人も多いのではないだろうか。
実際、市場に3Dコンテンツはほとんど存在していないが、一方でメーカー各社はコンテンツ制作会社と連携して急ピッチでタイトルを増やそうとしている。今回は、3Dテレビで視聴できる3Dコンテンツの現状を整理してみた(情報はすべて2010年6月7日時点のもの)。
フルハイビジョンの美しい3D映像を楽しみたいのであれば、やはりBlu-ray 3Dの映画ソフトを手に入れたい。過去にアナグリフ式(赤・青メガネを使用する)の3D対応Blu-ray Discタイトルとして、「ポーラーエクスプレス 3D」や「センター・オブ・ジ・アース 3D」などが販売されていたが、これらはBlu-ray 3Dとは違う。
アナグリフ式は、通常のテレビで立体視できる手軽さがメリットだが、色再現性をはじめ映像クオリティーの面でBlu-ray 3Dに及ばない。対してBlu-ray 3D規格のコンテンツは、対応するテレビとBDプレーヤー/レコーダーを購入する必要はあるものの、自然な色でフルハイビジョン/フルフレームの3D映画が楽しめる。
現時点で、国内での発売日を正式に発表しているBlu-ray 3Dの映画タイトルは存在しない。パナソニックは「3D VIERA」購入者に対して、石川遼選手のオリジナルBDと「アイスエイジ3 ティラノのおとしもの」をもれなくプレゼントするキャンペーンを実施しているため、もっとも早く家庭で楽しめるBlu-ray 3D映画は、アイスエイジ3ということになるのかもしれない(→キャンペーンサイト)。
ただし海外では、ソニー・ピクチャーズが「3D BRAVIA」発売に合わせて「くもりときどきミートボール」を発売する予定(国内では未定)。このほかにも、3D大作「アバター」や「アリス・イン・ワンダーランド」「Disney's クリスマス・キャロル」「オープン・シーズン」など10タイトル以上の3D化が予定されており、年末商戦に向けて国内でも続々と発売されるはずだ。
すでにファームウェアアップデートで3Dゲームに対応した「プレイステーション 3」。3Dテレビに接続すれば、迫力のある3Dゲームを楽しめるが、単体タイトルで正式に3D対応を表明しているのは、今のところSCEJの「KILLZONE 3」だけ。発売日や価格なども残念ながら未定だ。
ただし、ソニーマーケティングは「3D BRAVIA」購入者に対し、専用の3Dゲームタイトルを無償提供する(→キャンペーンサイト)。タイトルは、「WipEout HD」「STAR STRIKE HD」「Mr. PAIN」(2D基本ステージ+一部3D対応)、「MotorStorm」(体験版1ステージ)の4つ。登録を行うと、6月17日〜10月31日の期間限定で無償ダウンロードできるようになる。
このほか、イベントのデモなどに登場した3Dゲームタイトルとしては、「SUPER STARDUST HD」「グランツーリスモ5」などが挙げられる。いずれも参考展示という位置づけで、3D版の発売が決定したわけではないが、多くのタイトルで3D化を検討していることだけは確かだ。Blu-ray 3Dとともに、対応タイトルの正式リリースを待ちたい。
ここまでで分かるように、Blu-ray 3Dや3Dゲームのタイトルは、まだテレビメーカーが購入者特典として提供しているものが中心だ。逆にテレビのメーカーを問わずに視聴できる3Dコンテンツといえば、放送の3D番組が中心になる。
まずは無料放送。3D番組で先行した「BS11」は、「3D紀行 江ノ電で巡る湘南・鎌倉」「3Dシアター 海中散歩 バリ島編」「農村景観を3Dで科学する 〜農村工学研究所」といったオリジナル3D番組を夕方や深夜帯で放送している。放送時間は1回5〜15分と短く、ちょっと3D視聴を試してみたい人には最適だ。
一方、フジテレビもアグレッシブな取り組みを行っている。同社のCS系専門チャンネル「フジテレビNEXT」(有料)では、独自の3D番組として、コメディーのショートムービー「3Dロック」、同社初となるスタジオでの3D収録を行った「アイドリング!!!3Dング!!!」、同じくライブ会場に複数の3Dカメラを持ち込んで撮影した「3Dアリス〜東京ドーム『明日への賛歌』」の再放送などを予定。番組ラインアップからは、3D撮影のノウハウを積極的に蓄積していこうという姿勢がうかがえる。
もし自宅がJ:COM系列のCATVサービスに加入していれば、上記のフジテレビNEXTのほかに、ビデオオンデマンドサービス「JCOMオンデマンド」でも3Dコンテンツが楽しめる。数はまだ少ないが、映画「戦慄迷宮 3D」のほか、「Beach Angels 木口亜矢 in パラオ 3D特別版」などのグラビア3Dコンテンツもいち早く用意した(→J:COMの番組情報)。
一方のスカパー!HDは、3D専門チャンネル「スカチャン3D169」を立ち上げ、ソニーが3D撮影を行うFIFAワールドカップ南アフリカ大会25試合を6月11日から放送する。6月19日の「日本対オランダ」および7月11日の決勝戦は3D“生”中継。ダイジェスト版Blu-ray 3Dの発売も計画しているが、やはりリアルタイムで見たいところだ(→スカパー!の告知)。
こうして一覧すると、3Dテレビが発売されたばかりという点を差し引いてもBDやゲームは不足と言わざるを得ない。当面、3Dタイトルは放送を中心に推移し、映画やゲームが充実してくるのは、年末商戦を控えた秋以降になるだろう。また、「アクトビラ」や「PlayStation Network」といったネット配信でも3Dコンテンツの取り扱いを計画中。年末商戦のころには、好みの3Dコンテンツを選べる状態になっていることを期待したい。
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