従来のカラーディスプレイは、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)のRGB3色で、すべての色を再現してきた。これは「加法混色」と呼ばれる色の表現方法で、RGBをそれぞれ100%の強さで混ぜあわせた色が「白」となる。「黒」を表現する場合は反対に、RGBそれぞれを0%にすればいい。
今回、AQUOSシリーズに採用された「クアトロン」は、イタリア語の「4」(クアトロ)と「電子」(エレクトロン)をかけ合わせた造語。3原色では、赤と緑に含まれる成分から黄色を作り出していたが、クアトロンではRGBに「黄」(Yellow)を加えた4原色(RGB+Y)を使用することで、3原色では表現しきれない領域をカバーする。とくに金色や肌色など黄系色の表現にすぐれ、階調の再現力が向上することが特徴だ。
この4原色化を実現するために行われた工夫の1つが、画素構成の見直し。RGB+Yでサブピクセルを均等にせず、人間の目には暗く見えるRとBは大きめに、明るく映るGとYは小さめに配分することで、光効率の最適化を図っている。
サブピクセルの数もポイント。フルHD液晶の場合、従来のRGB方式におけるサブピクセル数は1920×1080×3=約622万だが、RGB+Yのクアトロンでは1920×1080×4=約829万に増加している。1画素あたりのサブピクセル数が1.3倍に増え、そのサイズも小さくなった。それを利用した新しい高画質処理技術が「フルハイプラス」。サブピクセルを制御することで、従来より精細で滑らかな映像を実現している。
1.3倍にもサブピクセルが増加すると、そのぶん開口率(光が通過する部分の割合)は低下するが、クアトロンではバックライトの輝度を上げることなくこの問題を解決している。それを支えているのが、昨年発表された光配向技術「UV2A」だ。
UV2Aは、高精度な光配向技術だ。紫外線を液晶分子に照射することで、従来難しかった液晶分子の向きを高度に制御できるようになる。この技術にで開口率を約20%改善できるほか、応答速度やコントラスト比の向上により黒の表現力も増しているという。
このUV2Aによる光利用効率アップは、暗さが指摘されがちな3D映像にもプラスに作用する(3Dサポートは、7月末発売のLV3シリーズのみ)。バックライト制御の改良などもあり、クアトロンの輝度は従来のASV液晶に比べて約1.8倍を実現している。またUV2Aで4ミリ秒にまで改善された応答速度も3Dテレビにも有利だ。これらの点をもってすると、クアトロンを採用した3Dテレビにはおおいに期待できそうだ。
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