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全文公開! 賢いテレビって、どんなもの?(前編)「ITmedia スマートテレビ研究所」第一回シンポジウム(3/4 ページ)

» 2011年08月19日 18時06分 公開
[ITmedia]

いとう いや〜、ちょっとくらいは聞いたことありましたけど、でも、だからって果たしてそれがいったいどんなテレビなのかというのは、全く、私にとっては未知なる世界ですね。

乙武 ちょっと一旦、ここでどういうものをスマートテレビというのか、といったあたりを、専門家のお二人にお聞きしてみましょうか。麻倉さん、お願いしてよろしいでしょうか。

麻倉氏:新世代のインターネットテレビ【11分32秒前後〜】

麻倉 去年までね、ネット接続テレビとかブロードバンドテレビとかインターネットテレビと言われていたんですけど、今年のコンシューマーショー(2011 International CES)から、スマートテレビという非常に大きな字で出てきました。初めて聞く言葉ですよ。だから、今年の1月6日から始まった言葉なんです。当然、知らないのは当たり前ですけども、海外はもう製品が出ていまして、色んなことができるんですけど、私がだいたい4つくらいの感じで定義しますと、まず、非常に分かりやすいのが、新しい新世代のインターネットテレビだと。つまり、インターネットはつながるだけじゃありません。つながっただけじゃなくて、双方向になったり、より細かい情報が分かったり、共有できたりしますよと。

 「じゃあ、どんなことができるんですか」と聞かれたら、まず、基本的にはインターネットと常時接続します。これが基本はブロードバンドですね。遅いバンドじゃダメで、常時接続するのでどんどんコンテンツが来たり、それから検索ができたりする。Webサイトを見られる。だから、まず1つは常時接続します(ということ)。

 2番目は今日のテーマでもあるんですけども、スマート端末との連携。スマートフォンとかiPadとか、そういうものと連携して、それがリモコンになる場合もあるし、そこが実はネットにくっついていて、非常に高速なネットと(つながっていて)、それをテレビで見ます。だから、今の(手裏剣の)感じがそうですね。この中にあるコンテンツを出しますよ、という。そういう意味では2スクリーンでやるというのがあります。

 3番目は、コミュニケーションですね。今もTwitterとかFacebookでやっていますけど、それがテレビの中に入っていって、テレビの中でそういう対話ができる。

 4番目は結構大きいんですけど、機能拡張ができるということ。つまり、アプリケーションがダウンロードできて、自分の好きな形に機能を変えられる。つまり、今まで機能を変えられるテレビはなかったんですよ。機能って買ったときに固定なんですけど、後から追加することができると。

 というのが、だいたい世界的に見て標準的なあれ(定義、内容)なんですけども、ここで私のわがままを言わせていただくと、今、スマートテレビって誰も定義していない状態。だから、1人が1定義してもいいわけですね。

 私の定義からすると、「スマートなテレビ」というのが私の考えなんですね。スマートテレビと一言でいうんじゃなくて、スマートなテレビ。スマートな、というのは、要するに頭がいいとか、賢いとか、つまり賢いテレビ。じゃあ、何か賢いかというと、ユーザーの利便性を高めてくれるとか、ユーザーの欲求にすごく応えてくれるとか。

 例えば、今、疲れて帰ってきて、気分がちょっとアレだな、という感じだと。何かいいもの見せてくれや! とか思って、例えば「見せてくれや!」と言うじゃないですか。言ったら、それを一番その人の気分に合ったものを、そのときの例えばEPG(電子番組表)とかネットとか、自分が撮ったものの中から見せてくれると。そういう、これまでできなかったことがネットとデジタルがくっつくことで、従来のアナログではできなかったことができるようになったテレビが、私的に、個人的に言うと欲しいな、という感じ。

 だから、今、さっきの4つの原則みたいなのがだいたい共通なんですけど、もう少しテレビの進化系として先に行くんじゃないか? というのが、私の考えるスマートテレビですね。

乙武 本田さんはいかがですか?

本田氏:コンテンツはテレビだけじゃない【14分57秒前後〜】

本田 そうですね。麻倉先生が4つの定義付けをしていただいたので、その4つは大賛成です。その4つがあればスマートテレビの条件なんだろうと思うんですけど、もう少しブレイクダウンしますと、今までテレビというと、放送ともしくはDVDのような光ディスクを使って、それを情報ソースとしていたんですけど、今はインターネットの中に動画もたくさんあるし、自分で撮影する、スマートフォンで手軽に撮ることもあるし、色々コンテンツの幅が広がっていますので、それらを見ることができるというのが1つの要素なのかなと。

 もう1つは、スマートフォンやスマートタブレットだとか、そういった身近なインタラクティブなデバイスがありますね。そういったデバイスを使って、テレビの使い方や視聴スタイルを拡張していく、変えていくというのも、もう1つの要素としてあります。

 ただ、あとはもう色々なものの組み合わせなんですけれども、僕自身、麻倉先生に習った僕自身のスマートテレビの定義というと、ネットの向こう側、クラウドの中、クラウドといいますけども、インターネットの向こう側っていろんな価値が今、眠っているじゃないですか。SNSもそうだし、例えば、1人でテレビを見ていても、今ニコ生でつながっていますが、ニコ生を見ている人たちと、同じ番組を見ている人たちと場を共有してコメントをやり取りすることができたりとか、そういったプラスα、ネットの向こう側にある何か別の価値というものをテレビの中に統合していく。そういったものも概念的にはスマートテレビのあり方なのかな、と思っています。

乙武 いとうさん、今、おふたかたの見解をお伺いしましたけど、ちょっとずつ見えてきましたか。

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