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ハイレゾ時代のオーディオアクセサリー、クリプトン「HRシリーズ」をチェック野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2011年09月28日 02時35分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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HR USBケーブル「UC-HR1.0」(4万4100円)

 まず今回発表されたHRシリーズのなかで、最初(10月上旬)に発売されるのがUSBケーブル「UC-HR」だ。長さは50センチから2メートルまで、50センチ刻みに4タイプが用意される。

「UC-HR1.0」

 特長としては、USBの4本のケーブルのうち、信号2本線と電源線2本をセパレートすることで、よりピュアなサウンドを実現している点が注目だ。これまでもオーディオ用USBケーブルの一部では使われていた手段だが、電源線に6NのOFC、信号線にはPCOCC-Hを採用し、それぞれにPCOCC-Aの編組シールドを施したうえに、ケーブル間にセパレータを挟み込むなど、細部までこだわり抜いた構造を持つのはこれがはじめてとなる。

 さっそく「UC-HR1.0」のサンプルを借用することができたので、短時間ながら自前のシステムで試聴してみた。とくに、SN感に関してはすばらしいのひとこと。ノイズレベルが格段に抑制されているのだろう、解像度感が高く演奏が丁寧、空間表現も抑制なくスムーズに広がっていく印象だ。下位モデルの「UC-KS」も比較のため試聴し、こちらも悪くないとは思ったが、いかんせん役者が違う。確かにハイレゾ音源には、ここまでの基礎体力の高さが欲しくなってくる。確かに高価だが、その価格に見合った素晴らしい製品だ。

HR電源ボックス「PB-HR1000」(15万7500円)

「PB-HR1000」

 次に興味深かったのが、電源ボックス「PB-HR1000」である。何を隠そう、こちらは「ネオフェード」+カーボン3層材(表面パネルやインシュレーターなどに採用)とPCOCC-A素材の内部ケーブル、「バスタレイド」という、HRシリーズならではの素材をフル活用している製品となっている。また6個口用意されたコンセント(レビトン社製ホスピタルグレードを採用)は、うち2つがPC&パワーアンプ用とされ、さらなるノイズ低減のために電源フィルターが組み合わされている。

 こちらは単体での比較試聴は叶わなかったものの、発表会会場で試聴した印象を振り返ると、SN感のよさが際立っていたイメージが強く残っている。低音の押し出し感はそれほど強くはないものの、最低域までの伸びが良好になったため、それまでブーミーな鳴り方をしていた曲も、重奏感のある良質な音楽表現に変わっていた。こちらもなかなかにいい。

HR電源ケーブル「PC-HR1000」(5万9850円)、「PC-HR500」(3万9900円)

「PC-HR1000」

 電源ボックス「PB-HR1000」に、ACインレット用の電源ケーブルは付属せず、別売で用意されている。それが「PC-HR1000」と「PC-HR500」だ。それぞれ5sq、3.5sqと太さが異なるものの、PCOCC-A導体と絹糸介在を採用しているのはどちらも同じ。また制振材入りの耐燃性ポリオレフィンを絶縁体に、制振材入り耐燃性ポリエチレンをシースに使用。シルバー+ロジウムメッキが施されたプラグとあわせて、良質な電源環境を追求している。ケーブルの長さは両製品ともに1メートルとなっている。

HR電源ケーブル「PC-HR1000/30」(9765円/メートル)、PC-HR500/50」(6510円/メートル)

「PC-HR1000/30」

 電源ケーブルは完成品だけではなく切り売りもされる。ケーブル素材はまったく同じで、こちらは高品位と同時に、扱いやすい柔らかさが特長だ。

HRハイブリッドオーディオボード(7万3500円)

HRハイブリッドオーディオボード

 「ネオフェード」+カーボン3層材を天板に、底板に針葉樹系MDF、周辺部分にホワイトアッシュ材を採用したオーディオボード。「ネオフェード」+カーボン3層材によって振動をスムーズに吸収し、自然な減衰特性を実現している。一般的にはオーディオ機器やスピーカーの下などに置く製品だが、表面のカーボンは電磁シールド効果があるため、その電磁アース効果によって、PCなどデジタルノイズの大きい機器の下に置くことでも効果が期待できるという。

HRハイブリッドインシュレーター(2万9400円)

HRハイブリッドインシュレーター

 「ネオフェード」+カーボン3層材とステンレスを組み合わせたインシュレーター。上下に特殊シリコンゴムのOリングを埋め込むことで、高いすべり止め効果を発揮している。

 このようにHRシリーズは、ハイレゾ音源時代に見合ったクオリティーを徹底的に追求した製品群となっている。それゆえに、その実力だけでなく価格も超弩級のスケールとなるが、論理的で効率重視のクリプトンならではの製品作りによって、それに見合う価値を与えられているのも事実だ。春に発売したUSBケーブルと合わせ、PCオーディオにおけるエントリーとハイエンド、2つの試金石を投じてくれたクリプトンの事業展開に注目したい。

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