これに対してVA型は、IPSの4倍程度のコントラストがあり、黒もよく沈む。かつては暗部階調の直線性や応答速度の特性が複雑であったりと各種の問題もあったが、昨今はうまく弱点を抑え込んでいる場合が多い。しかし、IPSに比べて視野角が狭く、斜めから見るとトーンカーブが著しく変化したり、色味がおかしくなるなどの問題がある。
視野角の問題はメーカーごとに程度の違いがあり、昨今はさほど大きな問題のないレベルに抑え込んでいる……と言いたいが、実際にはいまだ敏感な側面を持っている。上下視野角はあまり進歩していないため、畳の上に寝っ転がるかなり敏感に色味やトーンカーブが変化してしまう。
というわけで、液晶の方式には一長一短があり、正面から見た時の絶対的な画質ならばVA、どんなスタイルで見ても安定した画質を得たいならIPS(実際にはもっと複雑に特徴は異なるが)となる。
したがって、L46-S08にも視野角の問題は残念ながらある。VAパネルを使う他社機(シャープ、ソニー、東芝の一部、三菱など)とほぼ同じレベルなので、劣っているわけではないが、従来の日立製液晶テレビの上位モデルとは違うということだ。しかし画質の方はというと、コントラストの高いVAパネルとS-LED技術が組み合わさり、これまでに見たことのない高いレベルの画質が実現されていた。
今年はローカルディミングの技術が大きく進歩しており、とくにソニーの「HX920シリーズ」が「X-Reality」の高画質処理との組み合わせで非常に高いレベルのバックライト制御を行うようになった。一方、日立のS08も46インチ1モデルのみではあるが、このサイズに限ってはほかにライバルがいないほどのレベルに至っている。同社のWebサイトにはさまざまな”高画質の理由”が書かれているが、それらは本質的なものではない。S08の良さは、インテリジェントオート高画質に加え、バックライトのローカルディミングを積極的に行いつつも、破たんのない映像を実現していることだ。
ここまで完成度が高いローカルディミング制御は、「L46-S08」、(前出のソニー)「HX920シリーズ」、それに東芝の“REGZA”「55X3」ぐらいだ。もし店頭で見る機会があるならば、なるべく暗い(実際の部屋に近い環境)で、じっくりとさまざまな映像ソースを見ていただきたい。
ローカルディミング技術は高画質というだけでなく、省電力の面でも効果が高いため、一度、採用機種が減っていたものの、再び積極的に使おうという機運が高まっている。おそらく来年には採用機種はさらに増えていくはず。そのひとつの目標、ベンチマークとしてS08は比較基準になっていくだろう。それぐらいうまく作り込んであるのだ。
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日立の録画テレビは“総力戦”、さらに熟成された“プラズマWooo”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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