麻倉氏:透過型液晶は一般的に駆動が遅く、以前は本当に3Dができるのかと疑問に感じていたのですが、「EH-TW8000/TW8000W」(W型番はWireless HD対応機)を見ると、とても明るく、クロストークも少なかった。昨年のビクター以上といえます。
3Dコンテンツでは、明るさが足りないと奥行きの距離感が分かりにくくなるのです。EH-TW8000はそれが明確ですし、クロストークもほとんど目立ちません。例えばIMAXのBD「グランドキャニオン」のチャプター5は、太陽に照らされた機関車の車輪のシーンでクロストークが出やすく、3Dのデモによく使われるのですが、EH-TW8000では目立ったクロストークは見られませんでした。色再現性もとてもよい。これまで肌色から色を設計していたのが、今回はまず赤から始めたそうです。その違いは確かに赤の再現に如実に表れていますね。
エプソンはデバイスから製品まで作る垂直統合型のメーカーです。今回は3Dプロジェクターのために480Hz駆動のパネルを新規に開発し、駆動方式も新しく考えたそうです。意地を感じさせる製品ですね。
ただ、透過型液晶は、黒の沈み込みがいまひとつ。立体感はコントラスト性能に左右されますから、トータルで考えると不利になることは否めません。一方、エプソンには“Rシリーズ”という高温ポリシリコンTFTの反射型液晶デバイスを使ったプロジェクターもあります。
Rシリーズでは、昨年2D対応のハイエンドモデル「EH-R4000」を発表しました。画質はかなり良く、輝度やコントラストはもちろん、黒の沈み込みも上々でした。透過型液晶はパネルのネイティブコントラストが2000:1ほどしかありませんが、反射型なら3万:1前後になります。なかなか出てこないRシリーズですが、このデバイスを使った3Dプロジェクターを作り、締まった黒と豊かなコントラストを見せてほしいと思います。
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