編集部から、前回とテーマを変えずに第3弾を……という要望があったのだけど、ちょっと難しいんじゃないかなぁ。ということで、筆者としてはテーマを変えることにしたい(編集部注:よくあることです)。
そもそも、”新生活”を送る新しい世代の人たちから見た”テレビ受像機”の意味は、30代以上の世代とは異なる。時間の使い方は多様化しているからだ。”新生活のテレビ”を拡大解釈し、”情報やエンターテイメントへの窓”と位置付けるなら、iPadなどタブレット端末も(放送が受信できなかったとしても)新時代のテレビともいえるだろう。そこで前回とは別の切り口で、新生活でのテレビ(ディスプレイ)選びの話をしたい。
一人暮らしにおけるテレビは、家族で時間を共有するものではない。もっと個人に近い商品だ。では、個人に帰属するテレビとは? と考えてみると、消費者は大きく分けると2つの目的でテレビを買っている。
1つはエンターテインメントの窓として、もうひとつは情報の窓としてだ。もちろん、その両方のために買っている人がほとんどに違いない。しかし、どちらの比重が大きいか? によって、選び方は変わってくる。
前回のコラムでも書いたように、筆者の場合、”エンターテインメントの窓”としてテレビを使っている。だから高画質・大画面を志向する。さらに突き抜けて映画好きで、映画が楽しめることが一番! となると、テレビは小さく、スクリーン+プロジェクターで映画館ライクに……と発展していく。
しかし、これは映画やテレビドラマ、スポーツ中継、音楽ライブなどを中心とした”エンターテインメントの窓”についての話。同じエンターテインメント指向でも、ネット動画中心にソーシャルネットワークの海の中で、YouTube的ショートビデオやニコ生的インタラクティブコンテンツの方向になると、サイズや画質への要求は大幅に下がり、最後はスマートフォンやタブレットでも構わない……となっていく。
一方、情報の窓として捉えたテレビは、流しっぱなしで他のことをしていたり、友人・同僚たちとの話題共有のためにテレビを見ているなんて人もいるだろう。広く浅く情報トレンドを見ることができるテレビを情報の窓として好む人はいまだに少なくない。が、このタイプの方は、テレビに対する要求はあまり厳しくないはずだ。
さらに、情報の窓としての解釈を拡げれば、「Radiko」で聴取者が増えているラジオを併用したり、それこそネットをさまよっていた方が自分好みの情報にありつける。何が知りたいのか、どうやって情報を入手しようと思うのか。能動的に情報に対峙(たいじ)するのであれば、テレビは可能な限りシンプルで場所を取らない(場合によってはPC内蔵テレビやポータブル機で十分)方が良いという結論になるだろう。
どの例え話も極端な設定で書いている。実際には、いろいろな使い方が混ざり合い、自分の中での重み付けがあるはず。”テレビ”をどう捉えるかはあなた次第だ。したがって、周りが何を言おうと気にしない方がいい。
”今さら大画面テレビ?”と言われたとしても、エンターテインメントを楽しむのが主目的なら、画質と画面サイズにこだわるのは当然だ、と自分の選択に自信を持てばいい。”そんな小さなローエンド機種?”という空気感を感じたなら、僕にとってのテレビは情報の窓なんだと思えばいい。
目的がハッキリしていれば、誰がなんと言おうと、あなたの選択は正しい。それが分かっていれば、テレビだけでなくなんでも自信をもって選べるはずだ。
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