先日、オリオスペックが発売した高級オーディオPC「canarino2」を試聴する機会に恵まれた。
canarino2は、徹底して厳選した高品位パーツやオリジナル部品の多用、音質重視で追求されたセッティングなど、ハイエンドと呼ぶにふさわしい構成の機器だが、逆にそのストイックなつくりから、オーディオ用のPCは今後どういった方向性に向かっていくのだろうかという単純な興味がわいた。そこで今回は、機器としての「オーディオPC」の現状を見つめつつ、その将来の展望について考えてみたい。
現在のオーディオPCには、2つの異なる潮流がある。それは「音のよいPC」と「PCベースのオーディオ機器」というものだ。両者は興味のない人が見ればおそらく同じに見えるし、実際、オーディオPCという分かりやすいくくりがあるので、ひとまず一緒にされがちだが、オーディオ観点だと実はまったくの別物である。
最大の違いは、その製品で何をするかという目的だ。前者「音のよいPC」は、あくまでもいわゆるPCとしての機能は当然使用でき、付加価値として音がよい機器を差す。音質のために何かの機能を犠牲にするのは最小限にとどめ、PCとしてそつなく使えつつ、オーディオも楽しめるというのが理想の姿となっている。
それに対して「PCベースのオーディオ機器」は、あくまでもPCに関連する部品(CPUやマザーボード類、ケースなど、いわゆるPCパーツ)をベースに利用しているだけで、作るのはあくまでもオーディオ機器である。そのため、PCとして汎用性はほとんどなく、いわゆるPCとはまったくの別物となっている。
クルマに例えると、前者は自車のカーオーディオに凝って音をよくする取り組み(ほとんどの人がこちらだ)、対して後者はクルマの車体や部品を使ってリスニングルームを作るようなもの。前者の音は車載における限界はあるが、後者はそもそもクルマとして活用できない。
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