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高精細だから見えるもの、東芝が開発を進める「レグザエンジンCEVO 4K」IFA 2012(1/3 ページ)

» 2012年09月05日 15時32分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 昨年の「IFA 2011」で初の4Kテレビであり、裸眼3D表示を可能にした「55ZL2」を発表した東芝。今年は84V型のパネルを採用した4Kテレビの商品化を発表し、さらに「レグザエンジンCEVO 4K」という新しい画像エンジンで差別化を図ろうとしている。今回は同社の展示内容と4Kへの取り組みについて、IFAに合わせて開催されたプレス説明会の内容と合わせて紹介していこう。

初披露の84V型4Kテレビで4Kソースの映像を流すデモ。流れているのは「未来のファイナルファンタジー」というコンセプトで作られたプリレンダリングのCG映像だ(左)。昨年のIFAで発表された同社初の4K TV「55ZL2」も展示。なお参考出展として、従来の9視差から15視差まで拡張した裸眼3D TVのデモも行われていた(右)

「IFA 2012」の出展コンセプトは「つながることで、パーソナルからリビングまで驚きを感動を」。前年に引き続きクラウドやネットワーク連携が主眼になっている(左)。東芝によれば、2016年には50V型以上のTVの半分以上が4K対応になるという(右)

3D表示に4Kの解像度を利用するのがメインだった前年に対し、今年の新商品は84V型で大型化を実現するとともに、独自の画像エンジンを搭載して高画質をアピール

 周知の通り、現在市場には4K出力(3840×2160ピクセル)が可能な動画コンテンツのソースがほとんど出回っておらず、ユーザーは主にBlu-rayなどで供給されるフルHD(1920×1080ピクセル)のコンテンツを楽しんでいるのが現状だ。もし4Kテレビを持っていたとしても、当面の間はこれらフルHDソースのものを流用するしかなく、アップコンバートに頼らざるを得ない。そこで各社の4K戦略の初期は、このアップコンバータでどれだけ美麗な映像を再現できるのか、画像エンジン改良の腕の見せ所になるといえる。東芝の場合、2013年モデルから搭載されるというこの「レグザエンジンCEVO 4K」がその役割を担う。

 CEVO 4Kの特長は主に2つあり、「テクスチャーによる画像補完」と「輝き成分の再現」が高画質化のポイントとなる。4Kでは通常のフルHDに比べて4倍の解像度を持っており、そのままアップスケーリングしただけでは単にドットの荒さが目立つだけだ。そこで適時中間色でエッジ部分を滑らかにしたり、潰れた映像をテクスチャー補完で再現したりといった工夫が必要になり、この部分の差異が画像エンジンのチューニングの差異といえるだろう。

同社が2013年モデルに搭載予定なのが「レグザエンジンCEVO 4K」と呼ばれる画像エンジンで、Blu-rayに記録されたフルHD画質の映像を4Kへとアップコンバートし、その精細感を再現する。解像度が4倍になったことを利用してテクスチャーで滑らかさを向上させるほか、フルHDへのダウンコンバートの過程で潰れてしまった輝き表現を再現することが可能

チューニング中のCEVO 4Kエンジンを利用したアップスケーリングの特設シアターデモ。素材は「ダークナイト(Dark Knight)」のオープニング部分を利用している(左)。「4K輝き復元エンジン」の仕組み。一度画像本来の成分と輝き成分を分解し、つぶれた部分を再度強調した後に合成する(右)

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