ITmedia NEWS >

高精細だから見えるもの、東芝が開発を進める「レグザエンジンCEVO 4K」IFA 2012(2/3 ページ)

» 2012年09月05日 15時32分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 またCEVO 4Kでは、4K制作が行われている映画の場合、ダウンコンバートの過程で発生した物質表面の反射や鮮やかさの減少など、「輝き成分」の再現を行っている。一度元の画像と輝き表現の部分を分解し、再度強調し直すことで“潰れ”の再現を実現しており、より綺麗な映像出力が可能になっているという。サンプルとして紹介された「ダークナイト(Dark Knight)」の映像では、チューニング途中という部分も見受けられたものの、小石や路面の細かい部分、機械の反射の再現などが行われており、フルHDソースながら凝視するとより美しさが増していることが確認できた。

映画制作現場での記録から編集、上映まで4Kでの制作が進んでいることもあり、こうした劇場クオリティーを家庭で再現できる仕組みを作る

 また参考出展ではあるが、「55ZL2」では9視差だった裸眼3Dを15視差まで拡大したデモも行われていた。視差が増えるということは、視野角がさらに広がり、裸眼3Dが違和感なく見られる位置が増えるということを意味する。通常、裸眼3Dでは最適な3D映像を見るために自分の視点を移動して適時調整する必要があるが、15視差ではより自然な形で閲覧が可能になった。東芝の説明によれば、20センチ間隔で3Dが最適に見られるポイントが並んでいるという。

 ただし、まだ参考出展ということもあり、中央部から離れた視差ポイントからは画面端で映像が乱れたり、文字がゆがんで見えるなど、これからのさらなる改良が必要と見受けられる部分があった。4K活用事例の1つとして、今後も改良が進んでいくことになるかもしれない。

4Kテレビを高精細モニターとして利用する

 フルHDの映像ソースが中心の市販動画コンテンツに対し、PCの世界では4K映像出力に対応したOSやハードウェアがあり、デジタルカメラ等の世界では4Kのさらに4倍の解像度の映像の撮影可能なものがあったりと、高精細モニターに対するニーズは高い。これら分野でも4Kテレビを活用してもらおうというのがIFA 2012における東芝の展示コンセプトの1つだ。

ゲームプレイに4Kディスプレイを使った場合のメリット。画素数が4倍に増えているため、本来であればつぶれてしまう部分が再現できる(左)。4K出力可能なPCと4K TVを組み合わせた場合の利用例。写真や動画編集などで作業スペースが広がり、メリットを享受できるという(右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.