最近は当たり前になった、CGを合成するバーチャルスタジオ。セットでは作りにくい場所や、通常ではありえない風景を映すのに欠かせない技術だ。撮影時には、青や緑の一色に塗られたスタジオを使い、その中で登場人物たちが動き回る。これは、後でCGと合成しやすくするためだ(クロマキー処理)。
もちろん、例え架空のスタジオであっても出演者が壁から出てきたり、柱に突っ込んだりしてはおかしい。このため、現在はカメラの三脚にジャイロなど各種センサーなどを組み付け、実際のスタジオとバーチャルスタジオの位置関係を調整しながら撮影を進めるという。
ただし、このシステムは大がかりで、ハンディーカメラには対応できなかった。「子ども番組の制作現場から、遊び回る子どもたちの中にカメラも入っていきたいという声があがり、ハンディーでも使えるシステムを開発した」(説明員)。
出来上がったシステムは、約2キログラムと軽量。四角い箱に「ほぼPC」という基板とMEMSセンサーなどを収納し、カメラの現在位置や角度といった情報をコンソールに伝える。ポイントは箱の背面にある小型カメラだ。これが常に下を向くように動き、撮影した床面の特長を検出して現在位置を特定するという。
「床にはとくに目印などを設けてはいない。しかし、幸いというか、NHKのスタジオは古くて傷や汚れも多く、特長には事欠かない」(説明員)。
古いスタジオも善し悪し。こちらのカメラ、今後は子ども向け番組などで活用される予定だ。
時代劇の撮影には欠かせない、ろうそくや行灯の明かり。しかし、実際に撮影するとなると、カメラマンや照明さんの苦労は想像に難くない。狭いセットのなかでフィルターを交換し、色温度や絞りを調整しなければならない。なにより本物の炎は熱く危険だ。
そんな現場の声から生まれたのが、「色温度可変小型LEDライト」。2000ケルビンと6500ケルビンのLED素子を交互に敷き詰めた板状のアイテムで、コントローラーから色温度を簡単に変更できるうえ、点滅パターンまで用意した。これを仕込んだLED行灯は、本物のような「炎の揺らぎ」を再現していた。
このLEDライトは、嵯峨映画、システムワークスとの共同開発。今後はNHK大阪放送局制作のドラマやロケ番組で使われる予定だという。
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