秋はオーディオの季節。10月と11月は、週末になると必ずといってよいほどオーディオ関連イベントが催されている。そうしたイベントで講師を務めることの多いAV評論家・麻倉怜士氏にとって、秋はとても忙しい季節だ。今回は、10月中旬に開催された「オーディオ&ホームシアター展 2013」を中心に、最新のオーディオ動向を解説してもらった。
――今年のオトテン(オーディオ&ホームシアター展)はいかがでしたか?
麻倉氏: 会場は秋葉原からお台場の「TIME 24ビル」に移り、昨年までのように2つのビルを行き来する必要がなくなりました。使い勝手は悪くない会場だと思います。ただ、3日目には天候があれてしまい、来場者が少なくなってしまったのが残念でした。
麻倉氏: 展示やセミナーの内容を総括すると、今回はやはり“ハイレゾ・オトテン”でしたね。すでにハイレゾ音源はCDやSACDと並ぶ“普通の音源”として扱われ、ハイレゾなしでは今後のオーディオは語れない状況になりました。
それを象徴していたのがソニーです。ウォークマンからデスクトップ用のUSB-DACアンプ、対応するスピーカーやヘッドフォン……“上流から下流まで”すべてのハードウェアとソフトウェアでハイレゾ攻勢を掛けてきました。今回の展示会は、9月に発表したこれらの製品を一般ユーザーにお披露目の意味もあり、注目度は高かったと思います。
これまで、PCオーディオやネットワークオーディオというと、大手メーカーというよりは、ベンチャー企業やIT系のPC周辺機器メーカーが細々と手がけている印象でした。しかしソニーは、ハードウェアからソフトウェアまでを一度に提供し、従来のシステムコンストラクションとは異なる考え方まで持ち込みました。それがネットワーク対応のHDDプレーヤーです。
前回のIFAリポートでも一部紹介しましたが、ソニーのHDDプレーヤー「HAP-S1」と「HAP-Z1ES」はHDDを内蔵し、PCでダウンロードしたハイレゾ楽曲ファイルを自動的に転送する仕組みを持っています。PCでは常駐ソフトが特定のディレクトリを監視していて、新しい楽曲が入るとバックグラウンドでHDDプレーヤーに転送します。PCはプレーヤーではなく、単なる伝送手段になります。
麻倉氏: 一般の来場者に話を聞くと、やはりハイレゾ再生をしてみたいけれど、PCオーディオやネットワークの設定はハードルが高いと感じている人が多いようです。そのハードルを下げるソニーの試みに期待したいと思います。
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