最後の不満点、スマホで音楽を再生したときの「音質」に関しても注力した。Bluetoothによるワイヤレス伝送は音楽データの圧縮を伴うため、一般的に音質はあまり期待できないと言われている。
NW-M505では、まずワイヤレス伝送時の音声コーデックとして従来のSBCに加えてAACとapt-Xをサポート。対応する端末との組み合わせなら、iOS/Androidどちらでも従来より広帯域の伝送が可能になった。音楽信号はウォークマン側のD/Aコンバーターやアンプを使って再生されるため、スマートフォンよりも高音質の楽曲再生が期待できるという。
その内蔵アンプにはソニーお得意の「S-Master MX」を採用している。S-Master MXは、最終段のパワースイッチまでデジタル信号処理とし、アナログ化によるノイズなどの影響を極力抑えたフルデジタルアンプ。デジタル方式のアンプではスイッチングを行うタイミングの精度が音のクオリティーに直結するため、S-Master MXでは最終段の直前にマスタークロックの原発回路を置いて「きれいなクロックでたたき直す」という。
音量調整には、「パルスハイトボリューム」と呼ばれる仕組みを採用。パルスの高さを増減することで音量を調節するもので、デジタル領域でデータに手を加えないため情報の損失がない。音量を抑えたときでも楽曲がディティールを失わないという。
ここまでは従来型のS-Master MXと共通の特長だが、「NW-M505」には上位機「ZX1/Fシリーズ」の「S-Master HX」と同じアプローチで開発された新バージョンが搭載されている。例えば、DCカット用カップリングコンデンサーの排除。駆動用にマイナス電源を追加したことで、DCバイアスのないGNDセンターのスイッチング信号出力となり、デジタル出力とヘッドフォンをカップリングコンデンサーなしで接続できるようになった。そのメリットは、「深く沈み込み、キレのある低音を再現できること」(同社)。
またヘッドフォン駆動とオーディオ出力のために±電源とオーディオ出力の左右の電源をあわせ、4つの電源を独立して搭載。それぞれの負荷が軽減されることでヘッドフォンのドライブ能力が向上したほか、左右の音の干渉も軽減され、ステレオ感が際立つという。
「Fシリーズに搭載されている“S-Master HX”との違いは、ハイレゾ音域(20kHz〜)におけるノイズシェイプの有無のみ。非ハイレゾ音源の再生においては、ほぼ同等の音質を実現したといえる」(同社)。
実際の音を「iPhone 4S」とのBluetooth接続でチェックすると、iPhone単体に比べて分解能の高さを感じた。ボリュームを問わずメリハリのある音が元気よく耳に届くといった印象で、Blueotooth再生にありがちな野暮ったさはうまく払拭されている。スマホでの音楽再生がメインで音質やバッテリーの持ちに不満を持っているユーザー、そして現在2台持ちしていて煩雑だと感じているユーザーのどちらにもオススメできそうだ。
スマホユーザーに優しい新機軸のウォークマン。普段、生活の中でなんとなく感じている不満を一気に解消してくれるかもしれない。
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