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PCOCCの穴を埋める高音質ケーブル素材、「PC-Triple C」登場

» 2014年01月22日 21時28分 公開
[ITmedia]

 古河電気工業子会社のFCMは、「PCOCC」(一方向結晶無酸素銅)をしのぐ導体特性を持つという新しい銅素材「PC-Triple C」を発表した。

「PC-Triple C」導体断面写真

 古河電気工業のPCOCCは、信号の流れを妨げる長手方向の結晶粒界を皆無にした単結晶素材で、オーディオ用ケーブルなどで人気を博した。しかし、2013年3月に同社はPCOCCの製造・販売終了を発表している。

 FCMとプロモーションワークスが開発した「PC-Triple C」は、Pure Copper -Continuous Crystal Construction(連結結晶高純度無酸素銅)の略。古河電工が製造している高純度無酸素銅(OFC)をFCM独自の鍛造方法で製造することで、長手方向に連続された結晶構造を実現したという。

 OFCは、PCOCCのような単結晶素材ではないため導通特性ではPCOCCにおよばない。しかし、通常のOFCからマイクロメートル単位の異物を除去した古河電工の高純度銅素材を用い、小さな圧力で数万回も連続鍛造する「定角連続移送鍛造法」と適切な焼鈍処理を行うことで、縦方向に存在した結晶や粒界がなくなり、長手方向に連結された結晶構造に変化するという。「信号を妨げるものがなくなり、信号がスムーズに流れる。導通特性や音響特性が高く、PCOCCの代わりになることが期待される」(同社)。

「定角連続移送鍛造法」概要

 販売はプロモーションワークスが担当。AV用途の各種ケーブルや配線材、ボイスコイルといった需要に向けて展開する予定だ。

  線材(1.3ミリ径アニール材)
純度(Purity) >99.996%
導電率(EC) ≒1.1.5IACS%
抗張力(TS) ≒250MPa
伸び(E) ≒35%

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