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» 2015年01月30日 20時52分 公開

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:4Kテレビの先が見えてきた――2015 CES振り返り(前編) (2/4)

[芹澤隆徳,ITmedia]

――国内メーカーのブースはいかがでしたか?

麻倉氏: シャープブースは面白かったです。昨年までは北米の販売会社がブース内容を決めていたので売り物(北米向け新製品)が中心でしたが、今回は日本が主導して“近未来のディスプレイ”を多数展示しました。スーパースリムの4Kテレビをはじめ、フリーフォームディスプレイや透明ディスプレイなど、ユニークなプロダクトをたくさん並べまていました。

シャープが展示した現行の80V型4Kテレビ

麻倉氏: 中でも一番面白かったのは、「Beyond 4K Ultra HD」です。技術的な詳細は明らかにしていませんが、2Kで4K的な画を出す「クアトロンプロ」と同じ発想で、8Kに迫る解像感を生み出します。4Kテレビとサイド・バイ・サイドで見比べたところ、アップコンバートと超解像技術をうまく使い、4Kで見るより精細感の高い映像になっていました。8Kとはちょっと違いますが、4Kと8Kの間の“真ん中より少し下くらい”という印象です。クアトロンプロは視野角が狭くなってしまうのが難点ですが、それは今後対処すべき問題でしょう。

「Beyond 4K Ultra HD」

麻倉氏: 販売時の価格は、現在の4K最上位モデルとちょうど同じくらいになるようです。Blu-ray Discなどの2Kコンテンツを視聴する場合、4Kテレビでアップコンバートしたほうが良い結果を得られるケースも多いですから、それを考えると8K放送の予定のない米国でも8K相当にアップコンバートした4Kコンテンツが見られるというのは強いフューチャーかもしれません。8Kがビジネスになる可能性を感じます。ただ、シャープは「クアトロンプロ」や「クアトロンプラス」(米国での呼称)のようなブランディングで悩んでいるそうです。今回は「Beyond 4K Ultra HD」としていましたが、今後は良い意味で“8K相当”を表す言葉が必要になるでしょう。「Beyond 4K Ultra HD」とはよく分からない名前なので、私だったら「4kプラス」とネーミングしますね。

120インチのB2B用4Kモニター、シャープ

麻倉氏: パナソニックでは、55インチの8Kディスプレイを展示していました。これが今回のCESで最も驚かされたもの。同社はパネル自社生産から撤退していますが、これは姫路工場で開発したそうです。なぜ小さい8Kを作ったのかと聞いてみましたが、「机に置いたとき、製図で多様するA1サイズに近いため」だそうです。そのサイズで、より精細に見える解像度を探ってみたところ、4Kではなく8Kだったそうです。

パナソニックの55インチ8Kモニター。IPS PROパネル仕様だ

麻倉氏: パナソニックは、4Kテレビがまだそれほど流行っていない時期に20インチの4Kタブレットを発売しました。その流れで近い距離で高精細画像を見るというニーズに対しては敏感です。ただし、技術開発は大変でした。画素サイズが小さくなるため、開口率をどう維持するか、安定した駆動をどう実現するかなど多くの課題がありました。いくつものブレークスルーを経て「IPS Pro」の開発に成功したのです。

 やはり、革新を起こすテレビはパネルから変わらないとダメです。現在は水平分業が進み、パネルメーカーとセットメーカーが分かれていますが、シャープのBeyond 4Kにしろ、パナソニックのIPS Proにしろ、パネルの力がもう一度見直される時期に来ているのではないでしょうか。想像もつかないような新機軸のパネルが登場することを期待したいね。

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