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だから新製品はポータブル――OPPO Digital Japanに聞いた「HA-2」「PM-3」のコト(2/4 ページ)

» 2015年04月02日 10時53分 公開
[天野透ITmedia]
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必要だったから作った

 そしてパーソナルオーディオ製品開発の源流は、BDプレイヤーのヘッドフォン出力回路にあった。「BDプレイヤーの『BDP-105』に搭載するヘッドフォン出力を開発する過程では、リファレンスになる環境が必要でした。ヘッドフォンアンプ部の設計には高名なオーディオエンジニアも関わっており、その際にたどり着いたドライバーの駆動方式がPlanar Magnetic(平面磁界)だったのです」(島氏)。

 ドライバーユニットの全面を駆動させる平面磁界駆動は海外で定評があり、リファレンスは基本的にこのタイプが用いられる。しかし、市場にある他社製品を購入してくるのではなく、自社で作ろうと考えるのがOPPOならではだ。

OPPO Digital Japanの島幸太郎氏。「BDP-105のヘッドフォン出力を設計するために平面磁界駆動のヘッドフォンを用いており、それをよく鳴らすためにアンプ設計をしたのが始まりです」と、開発の経緯を明かしてくれた

 「問題は平面磁界方式が鳴らしにくいということです。新製品開発において品質を求めるためには、どうしてもヘッドフォンアンプが必要だということになりました。『BDプレイヤーのヘッドフォン出力を作る』ために『リファレンスヘッドフォンが必要』で、そのためには『ヘッドフォンアンプが必要』となった訳です。そういった過程の中で、高品質なものを作るという点において『BDプレイヤー以外のものも作れる』と確信したのです」(島氏)。

 従来の製品ラインアップがBDプレイヤーのみであったことも、開発を後押しした大きな要因だ。Blu-ray Discという媒体自体がインターネット経由の動画配信サービスに押されている現状において、このままBDプレイヤーばかりを作っていたのでは需要が先細りすることは容易に想像できる。新たな製品分野を開拓する必要があった。もちろん自分たちの持ち味である高品質とハイコストパフォーマンスは絶対条件だ。そうして導き出した答えが、ヘッドフォンを中心としたポータブルオーディオ分野だった。

 「大メーカーも数多くひしめき合う中で、自分たちの持ち味を出す必要があります。その上で今までのようにBDプレイヤーのみにこだわっていては、先はありません。先ほどのヘッドフォン出力開発におけるストーリーと、こうした多方面展開というマーケティングの必然性、この2つが合わさって、ヘッドフォンという結論が導き出されました。『いい音』『カッコイイ』に対して理解を示してくれる、そんなユーザーが今熱心に取り組んでいるのがポータブルオーディオというジャンルです」(島氏)。

「PM-3」はブラックとホワイトの2色

 また島氏によると、オーディオに対する海外ユーザーの付き合い方が変化してきているという。従来、海外のオーディオは「広い自宅でゆったりと楽しむ」というのが一般的であるとされてきた。日本は海外と比較すると住宅が狭いため、環境的にホームオーディオを楽しむことが難しい。その上「世界一長い」と言われる通勤通学時間を有意義に過ごそうという動きがあり、要素が組み合わさってポータブルオーディオが開発され、発展してきた。

ふかふかのイヤーパッド

 ところが近年、海外でもポータブルオーディオが注目を浴びている。その原因はスマートフォンやタブレットといったパーソナルなガジェットの登場と、ライフスタイルの変化であると島氏は指摘する。「海外は一軒家で広い家が多いと思われがちですが、スマホやタブレットの登場により、オーディオとの付き合い方が変わってきています。その上『可処分時間』(自由になる時間)が減ってきており、ライフスタイルがどんどん変化しているのです。そのため移動時間に楽しく過ごすというポータブルオーディオが全世界的に注目されてきています。『痛勤時間』などと言われるほど、日本では通勤通学時間が長いですが、音楽を聴く時間がないという問題は海外でも同様の問題となっているという状況です」(島氏)。

 OPPOにとって、ポータブル製品の登場は必然だったようだ。「OPPOの目標はポータブル環境にあっても高級スピーカーでのハイエンドな環境と同等の音を楽しんでもらうこと。ヘッドフォンリスニングでも、この思想は変わりません」(島氏)。

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