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ヘッドフォンのバランス駆動にも新しい波――ティアックが新世代USB-DAC兼ヘッドフォンアンプ「UD-503」を披露春のヘッドフォン祭2015(1/2 ページ)

» 2015年05月17日 20時05分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ティアックは5月16日、「春のヘッドフォン祭2015」会場で「UD-501」の上位モデルとなるUSB-DAC兼ヘッドフォンアンプ「UD-503」を公開した。左右チャンネルの干渉を防ぐデュアルモノーラル設計を徹底しつつ、ヘッドフォンのバランス駆動など“ヘッドフォンアンプとしての機能”を大幅に強化したモデル。ブラックとシルバーの2色で夏に発売する予定だ。

USB-DAC兼ヘッドフォンアンプ「UD-503」のブラック。サイズは290(幅)×81.5(高さ)×248.7(奥行き)ミリ。重量は4.2キログラム

 デュアルモノーラル構成は現行「UD-501」も採用しているが、今回は電源部からD/A変換部、アナログ出力に至るまで左右独立の回路構成を徹底した。筐体はコンパクトなA4サイズにも関わらず、電源はトロイダルコアトランスを左右1つずつ搭載。「電源部から分離しているのは珍しい」(同社)。

 DACは旭化成の新世代チップ「AK4490」を左右独立して搭載。最大384kHz/32bitのPCM音源に加え、11.2MHzまでのDSDネイティブ再生が可能だ。また専用チップを使ってPCM音源をDSD信号に変換して再生する「DSDアップコンバート機能」も備えた。デジタルフィルターはPCM用に4種、DSD用に2種を用意している。

シルバーモデル

 プリアンプ部分には、「TEAC HCLD回路」(High Current Line Driver)と呼ばれる独自の電流バッファー回路をL/Rのプラスとマイナスに各1基ずつ搭載した。ラインの出力段で使われるオペアンプにさらにトランジスタ2つを追加したプッシュ/プル回路構成で、バランス出力時はディファレンシャル動作、アンバランス出力時はパラレル動作となり、より多くの電流を流す。AB級動作だが、A級動作の範囲を拡大したという。「アナログ出力回路にもう1度着目し、大幅にブラッシュアップした(同社)。

付属のリモコン

 プリアンプとして使うときに重要となるボリューム回路には、ゲインの可変するアンプを4つ搭載した「クアッドボリュームコントロール」を採用している。コントロール信号を受けると同時に起動し、0.5dB刻み256ステップの調整が行える。「チャンネルセパレーションに優れたボリューム回路。さらにヘッドフォンアンプの機能も重視しているため、ギャングエラーがほぼ皆無になる電子ボリュームを採用した。左右の音楽信号をピュアに届けられるため、音質の向上にも寄与している」(同社)。

 クロック回路も凝ったものだ。入力信号のサンプリングレートに合わせて44.1kHz系と48kHz系の2つを使い分けるデュアルクロックを内蔵した上、さらに高精度な10MHz外部クロックジェネレーター(発振器)の接続に対応する端子を備えた。ほかにもデジタル/アナログのグランドを分離するデジタルアイソレーター回路、3点支持のピンポイントフットなど、「UD-501」にはない機能をぜいたくに盛り込んでいる。

フット部分は3点支持のピンポイントフット

スパイクを持つフットと“すり鉢”状のフットベースは外れないように組みあわされており、本体を持ち上げたときもベースが残ることはない
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