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ヘッドフォンのバランス駆動にも新しい波――ティアックが新世代USB-DAC兼ヘッドフォンアンプ「UD-503」を披露春のヘッドフォン祭2015(2/2 ページ)

» 2015年05月17日 20時05分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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BTLに加えてActive GND方式をサポート

 さらに注目はヘッドフォン出力だ。UD-503のフロントパネルには、標準サイズのヘッドフォン端子(TRSフォン端子)が2つ並んでいる。バランス駆動時(BTL:Bridge Tied Load)は両方に接続し、通常のアンバランスヘッドフォンを接続する際は2台同時に使用できるという。

通常のアンバランスヘッドフォンを接続する際は2台同時に使用できる

 バランス駆動に標準ジャック2つを採用した理由については、「現状、ヘッドフォンのバランス駆動ではさまざまな端子の製品が出回っている。開発時にもさまざまな議論があったが、われわれとしてはコンパクトなA4サイズと美観を守りたかった」という。キヤノン端子を使うとフロントパネルに大きな穴をあけることになり、他の端子を載せることが難しい。また、TRSフォン端子は汎用性の高いのもポイント。もともと3極あり、シンプルな構造のため壊れにくい。「ユーザーメリットが大きいと考えた」(同社)。

 もちろん変換アダプターなどを使えば3極XLRや3.5ミリステレオミニのケーブルを2本使用するタイプのケーブルにも対応できる。ティアックでは、サードパーティーと協力して対応するケーブルや変換アダプターの開発を行っており、「近いうちに報告できるはず」という。

 そのヘッドフォンアンプ部は、ディスクリート構成のラインアンプをヘッドフォンアンプにも流用したもの。出力も大きく、バランス駆動時で700ミリワット+700ミリワット、アンバランスで500ミリワット+500ミリワット(いずれも32オーム時)となっている。バランス駆動型ヘッドフォンに対応するのはもちろん、シングルエンド接続時でもパラレル駆動で大出力を実現する。

通常のシングルエンド接続時でもパラレル駆動

 またバランス駆動として一般的なBTLのほかに「アクティブグランド方式」の接続にも対応した。戻ってきた電流をマイナス側のオペアンプまで戻し、「グランド電位を積極的に安定させようとする」(同社)というもの。スピーカー用のアンプで採用例はあり、ヘッドフォンにとっても静粛性という点でメリットが大きいという。「出力はBTLの半分になるが、好みに合わせて使い分けられる。リモコンのボタン1つで切り替えることもできる」(同社)。

ヘッドフォンアンプ部の概要

 デジタル入力は、リアパネルにUSB、同軸デジタル、光デジタルを各1系統のほか、フロントに同軸/光兼用の入力端子を1系統用意している。これはハイレゾ対応ポータブルプレイヤーとの接続を意図したもので、光/同軸ともに192kHz/24bitまでの入力が可能だ。さらにDSDのDoP伝送(DSD over PCM Flames)にも対応した。ほかにアナログ入力(アンバランス)1系統も備えている。

リアパネル

 ヘッドフォン祭で発表されたことからも分かるように、ヘッドフォンやポータブル機器のトレンドを取り込み、相性の良い“デスクトップオーディオ”に進化した「UD-503」。価格は発表されなかったものの、「10万円台」ということは確かなようだ。また上記のサードパーティー製リケーブルに加え、503シリーズのパワーアンプや10MHzクロックジェネレーターなども企画しているという。「ただし、近々というわけではない」(同社)。

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