タカラトミーは5月26日、磁力による浮上と走行の両方を実現した「リニアライナー 超電導リニアL0系スペシャルセット」を発表した。昨年の「東京おもちゃショー」で実際に走行し、そのスピードで注目を集めたミニチュアリニアモーターカーだ。
リニアモーターカーは、1970年の大阪万国博覧会を機に広く知られるようになった「夢の乗りもの」。磁石の力で浮上し、車輪もないのに新幹線よりも速く走る。万博会場で当時の国鉄(現在のJR)が展示した模型は、多くの子ども達の目を釘付けにしたという。
リニアモーターカーの開発がスタートしたのは、東海道新幹線の開業よりも早い1962年。1970年代の宮崎実験線や1990年代の山梨実験線を経て2005年までに実用化基盤技術を確立し、現在は2027年の開業を目指して中央リニア新幹線の準備が進められている。完成すれば品川ー名古屋間を約40分で、さらに2045年の全線開通後は東京と大阪を最速67分で結ぶ見込みだ。発表会にゲストとして登場したJR東海東京広報室長の重田洋氏は、「3大都市圏がまるで1つの街のようになる」と話している。
タカラトミーの富山幹太郎社長も「ライトな鉄ちゃん」を自称する鉄道ファンの1人だ。15年ほど前には山梨のリニア実験線に試乗し、「氷の上を滑るようにスタートし、この世のモノとは思えない加速に感激した」という。また富山氏によると、「プラレール」や「TOMIX」といった鉄道模型を長く手がけてきたタカラトミーにとってリニアモーターカーは“夢の玩具”。「浮いて走る」ことにこだわり、2年以上の開発期間を費やして完成させたのが「リニアライナー」だという。「玩具は時代や技術によって変わるもの。リニア新幹線の開業までに発売したいと思っていた」(富山氏)。
「リニアライナー」は、中央リニア新幹線の営業線仕様第1世代車両となる「L0系」がモデル。各車体の四隅に設けた永久磁石によりレールから2ミリほど浮き上がり、さらに中央のコイルに電気を流して電磁石化することでレールに設けられた磁石と反発して推進力を得る。コースを1周する間に126回も電磁石のオン/オフを繰り返すが、タイミングによっては磁石の反発が“前向きの推進力”になるとは限らないため、すべての車両に独自開発の「高速磁気センサー」を搭載し、車両自身がタイミングを合わせる仕組みにした。
開発を担当した同社ニュートイ企画部企画開発課の井上拓哉係長は、「車体を浮かせることは決して難しくないが、走行は違う。磁石と磁石の距離など、さまざまな試行錯誤を繰り返した」と振り返る。その走行は、JR東海の重田氏も絶賛。「とてもスムーズな浮上走行に驚いた。リニアライナーはリニアモーターカーの仕組みを分かりやすく教えるための教材にもなりそう」と話していた。
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