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ハイレゾが変わる――英Meridianのボブ・スチュアート氏に聞いた“MQAの最新情報”と「PHA-1」の“隠し機能”(1/4 ページ)

» 2015年07月28日 13時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 関東地方は梅雨が明けて、夏も深まる7月。英Meridian Audio(メリディアン・オーディオ)の創設者の1人である、チェアマン チーフテクニカルオフィサーのボブ・スチュアート氏が来日した。今回はスチュアート氏の都内滞在期間中に時間をいただき、現在日本国内でも販売されているプレミアムヘッドフォンアンプ“Prime”「PHA-1」のディープな使いこなし方や、同社が提案するロスレス・オーディオの新たなコーディング技術「MQA(Master Quality Authenticated)」の最新情報について話を聞いた。

英メリディアン・オーディオ チェアマン チーフテクニカルオフィサーのボブ・スチュアート氏

メリディアン初のデスクトップ型ヘッドフォンアンプ”Prime”「PHA-1」

 英国のみならず、欧州を代表するHi-Fiオーディオブランドであるメリディアン・オーディオは、昨年初めて“デスクトップサイズ”のハイレゾ対応ヘッドフォンアンプである“Prime”「PHA-1」を発売した。プロダクトデザインは共同創業者である工業デザイナーのアラン・ブースロイド氏が手がけたもので、楽器を作るように熟練したプロフェッショナルによるハンドクラフトにこだわった製品は、音質だけでなくモノとしての質感にも力を入れている。日本国内では正規代理店であるハイレス・ミュージックが取り扱いを開始した。

メリディアン初のデスクトップ型ヘッドフォンアンプ”Prime”「PHA-1」

 「これまでメリディアン・オーディオが展開した“Gシリーズ”をはじめとするフルサイズのコンポーネントから、“Prime”ではPCによるデスクトップリスニングをメインにした、最高のオーディオを作りたいと考えました」と「PHA-1」を開発するに至った経緯をスチュアート氏は語る。徹底してクリーンな音質と、それを実現するために磨きあげたプロダクトデザインの融合がテーマに掲げられた。

 メリディアン・オーディオは1994年に、世界初のオーディオデータのロスレス圧縮技術である「MLP」を開発、世に送り出した企業としても有名だ。MLPは、ドルビーTrue HDの音声フォーマットにも採用されている技術。そのメリディアン・オーディオが1977年の創業時から培ってきたノウハウがPHA-1には詰まっている。コンパクトな本体には、ヘッドフォンアンプのほかにプリアンプ、USB-DACに加えて後ほど詳しく説明するMQAのデコーダーを合わせた「4つの機能」が搭載されている。アナログオーディオな技術をベースにピュアなサウンドにこだわりながら、ハイレゾ周りの最先端も柔軟に、かつ惜しみなく取り込んだという。

 2重構造のメタルシャーシの中に自社生産の高密度6層基板を配置。アクティブなコンポーネントはユニットの後ろ側に配置して、パスの引き回しは音質を重視して最短経路化。ボリュームには高精度なアルプス社製のポテンショメータを採用し、やはりユニットの後方に配置。フロントパネルのノブから長尺のシャフトをボリューム軸につなぐことで、ノブから発生するノイズまで徹底的に抑えながら音質向上を追求した。

 オーディオ入力はUSBとアナログを1系統ずつ備える。デジタルとアナログの回路もそれぞれを分離したうえで最適に配置した。「アナログ信号が入力されていて、反対にUSBからの信号がない場合には、USB側のデジタル回路を自動でスリープする機能を設けることで、アナログ入力時の音質も高めています」とスチュアート氏は話す。

背面端子部。USBとアナログ音声入力を搭載。アナログ音声出力も1系統備える

 USB-DACは最大192kHz/24bitのPCM対応。アシンクロナス伝送をサポートしたほか、48kHz/44.1kHzと2系統のクロックをディスクリートに配置することでジッターも最小限に減らす。

 フロントパネルには標準(TRSフォン)端子を2基に、3.5ミリのステレオミニ端子を1基設けた。詳細はまた後述するが、2つの標準端子を備えたことで、より高音質なヘッドフォンリスニングも楽しめるようになっている。背面にはRCAアナログオーディオ出力を1基搭載しているので、本機をプリアンプとしてオーディオシステムに組み込むこともできる。

本体は手に持てるサイズ感。重さも約0.9キログラムと軽量だ

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