筆者がドイツのベルリンで開催されるIFAに来るようになってから、今年で5回目となるが、このわずか4年の間に展示会を取り巻く情勢も大きく変化している。例えば日本的視点でいえば、シャープが2年前にIFAから撤退し、東芝は今年からブースを大幅縮小してPC関連の展示に絞り込んでおり、実質的に日本の家電メーカーで残っているのはソニーとパナソニックの2社のみとなってしまった。一方で中国メーカーは出展社数やブース面積を年々拡大しており、最近では地元ドイツや欧州メーカーを次々と吸収して1社が複数ブランドでの展示を行うケースも珍しくない。こんな変化を鑑みつつ、今年の「IFA 2015」をテレビ関連の展示で振り返ってみる。
冒頭にもあるように、現在家電メーカーとしてテレビ関係の展示を行っている日本の主力メーカーはソニーとパナソニックの2社しかない。ソニーは以前のリポートにもあるが、今回はテレビ関係の目新しい製品は特になく、内容もHDRを中心とした技術展示や、デザイン性を重視した薄型大画面TVをアピールするものとなっていた。一方のパナソニックは、ソニーとは異なり家電全般に幅広いラインアップを持っていることから、ブース全体の半分程度を白物家電が占める内容になっていた。残りをテレビ、Technics(テクニクス)ブランドのオーディオ、BtoB関連のソリューションで展示スペースを分ける形になっており、相対的にテレビの比重が少なめになっていた印象がある。
説明によれば、このパナソニックブースで最も注目を集めていたのは「4K OLED TV」(有機ELテレビ)だ。技術展示自体は数年前のIFAやCESでも行われていたが、商品化を前提としたアピールは今回が初となる。実際、来場者もこの展示の目の前に多く集まっていた。表の展示ブースではあまり触れられておらず、実機デモも行われていなかったものの、一般来場者が入れない奥の商談ブースではこの「4K OLED TV」が「HDR」(High Dynamic Range)とペアで紹介されており、HDRとの組み合わせが不可分であると印象付けていた。このHDRに対応したコンテンツを再生可能な“4K BD”こと「UltraHD Blu-ray」プレイヤーのプロトタイプが商談スペースに設置されていたが、CES 2015で展示されていたプロトタイプとの違いは不明で、具体的なリリース時期や技術詳細についてもコメントできないと言われた。なお、「4K OLED TV」自体の製品販売に関するアナウンスは10月を予定しているとのことで、改めて続報に期待したい。
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