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勢いを増す中国メーカー、欧州市場で既存メーカーはどのように生き残るか――テレビ関連展示で振り返る今年のIFAIFA 2015(4/4 ページ)

» 2015年09月14日 00時01分 公開
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 Skyworthの隣に位置していたHisenseも、こうした現地ブランドを活用する戦略こそないものの、以前に比べると展示の中国色が薄くなり、内容的には技術展示を中心とした日本や韓国メーカーのそれに近くなっている。またHisenseブースの隣には「Sharp」ブースが位置していたのも気になる点だ。シャープはすでに欧州市場から撤退して、ポーランドにあった組み立て工場と同地域での「Sharp」ブランド使用権をスロバキアのUniversal Media Corporation(UMC)に譲渡している。現在も製品開発での技術協力は行っているとのことで、展示製品にも「AQUOS」のロゴが見られる。このほか、シャープは南北アメリカからの事業撤退にあたって同地域でのブランド使用権やメキシコでの組み立て工場をHisenseに譲渡することを今年7月に発表している。欧州事業ということでHisenseとシャープが直接リンクしていることはないとみられるが、両社が隣り合ったブースで展示を行っているというのも興味深い。

Skyworthブースの隣には中国Hisenseのブースが位置している。「ULED TV」の名称で展開する4Kテレビと、4K OLEDの技術展示や画質比較が中心となっている。また、ソニーのように超薄型で狭額デザインのテレビをアピールするなど、展示内容は画質とテレビデザインのアピールに比重を置いている
SkyworthとHisenseのさらに隣に位置するのはSharpブース
シャープはすでに欧州市場から撤退しており、ポーランドにあった組み立て工場と同地域での「Sharp」ブランド使用権はスロバキアのUniversal Media Corporation(UMC)に譲渡済み。そのため、表記の「Aquos」ブランドの製品はシャープが技術供与こそしているものの、実質的にUMCの製品だと考えられる。なお、今年7月にメキシコの組み立て工場と南北アメリカでの「Sharp」ブランド利用権のHisenseへの譲渡を発表しており、IFAで2つのブースが隣接しているのも非常に興味深い

 中国の家電メーカー大手ではこのほかHaierがIFAに出展していたが、場所も白物家電のコーナーの一角に位置しており、展示内容も実際に白物家電が中心でテレビの扱いは少なめだった。だが4KのOLED TVや98型8Kテレビ、狭額デザインの薄型テレビなど、他のブースでも見られた製品や技術展示は一通り行われていた。

Haierブースは白物家電中心でテレビ関連の展示は少なめ。そのためか、場所も白物家電の展示ホールに位置しており、隣のブースはドイツBoschの家電展示コーナーになっている

105型の“5K Ultra HD TV”はシネスコサイズの21:9の曲面パネルを採用
4K OLED TV、98型8Kテレビ、狭額デザインのテレビなど、展示内容は他のブースのそれに近いものになっている

 このほか、トルコの家電メーカーで欧州やアジア市場では比較的シェアの大きいVestelもOLEDをはじめとする関連製品や技術展示を行っていた。VestelはTVから白物家電まで一通り扱っているメーカーだが、今回は特にBtoB関連の技術展示スペースが増えており、サイネージ向けパネルの紹介が行われていた。このあたりはSamsungと同様の傾向で、家電の次はBtoB事業を本格強化していこうという現れなのかもしれない。中国メーカーが欧州で現地ブランドを活用して家電市場でのシェアを売上を伸ばしていこうとしているなか、欧州ですでに一定のシェアを持つ既存メーカーらはBtoBなどの新規事業開拓に力を入れているなど、非常に対照的な動きといえるかもしれない。

トルコのVestelブース。55型と65型のOLED TVを展示

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