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課題も残るがデキは上々――HDR対応4Kテレビ、東芝「58Z20X」とシャープ「LC-70XG35」を徹底比較山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/3 ページ)

» 2015年10月27日 09時00分 公開
[山本浩司ITmedia]

 この秋の大画面4Kテレビの中で、筆者にひときわ強い印象を残した製品が3つある。東芝「58Z20X」、LG「65EG9600」、シャープ「LC-70XG35」だ。今月はその中から液晶タイプの東芝とシャープの2機種について、視聴インプレッションを述べてみたい。

シャープ「LC-70XG35」(左)と東芝「58Z20X」(右)

 両機ともに4K(3840×2160ピクセル)解像度の正面コントラストに強いVAパネルを用いてパネル直下にLED バックライトを配したローカルディミング(部分減光)採用機だが、より画面サイズの大きな70型のLC-70XG35は、シャープ独自の4原色パネルとMPD(マルチ・ピクセル・ドライブ)を利用した8K表示を実現している(後述)。

 来春のソフト・リリースが予告されている“4Kブルーレイ”こと「Ultra HD Blu-ray Disc」(UHD BD)再生に対応したBDレコーダー「DMR-UBZ1」がパナソニックから発表されたが(11月13日発売予定)、「58Z20X」「LC-70XG35」ともにUHD BDにおいて重要な画質ファクターとなるHDR(ハイダイナミックレンジ)用PQカーブ(SMPTE2084規格)を用意しているのも注目ポイント。また、UHD BDの10bit階調(BDは8bit)を60p収録コンテンツで生かすには、テレビ/プロジェクターのHDMI端子がVer.2.0 のハイスピード伝送(18Gbps)に対応しておく必要があるが、両機ともにその対応は万全のようだ。

パナソニック「DMR-UBZ1」はUltra HD Blu-ray Disc再生に対応したBDレコーダー

 また両モデルともに4Kコンテンツを含む定額制動画配信サービスの「NETFLIX」に対応している点も見逃せない(58Z20Xはスカパー!4Kチューナーも内蔵している)。LC-70XG35でその4Kネットコンテンツを観てみたが、NETFLIXでしか鑑賞できないベテラン・ロッカー、キース・リチャーズ(ザ・ローリング・ストーンズ)のドキュメンタリー映画「アンダー・ザ・インフルエンス」など、予想以上の画質のよさ。地デジ番組の延長のような、安易に制作されたバラエティー番組とは違うハイクオリティー感が味わえるのである。4Kコンテンツが視聴可能な料金プラン「プレミアム」は月々1450円。映画のほかにもさまざまな米国産高品質ドラマが4K高画質で楽しめるわけで、この画質・内容なら十分納得のいく値段だと思う。NETFLIX対応は、今後4Kテレビの大きな購入動機になっていくに違いない。

HDR復元も秀逸、東芝「58Z20X」

 では、両モデルの概要について述べよう。まず東芝「58Z20X」から(Z20Xシリーズは他に50V型と65V型がある)。本機は先述したように広色域LEDバックライトを用いた直下型で、前作の「Z10X」同様、画面を多分割してエリアごとにバックライトの光らせ方を変えるローカルディミングが採用されているが、今回ここが大きく進化した。従来の点灯時間による輝度制御に駆動電流による輝度制御が加わり、「CELL REGZA」の約11倍のコントラストレンジを獲得したという。確かにその黒の黒らしさ、漆黒の表現は従来のREGZAとは段違い。見た感じで言うと、黒の再現に定評のあったソニー「X9500B」に肩を並べた印象だ。

「Z20X」シリーズの直下型バックライト

 また、パネル表面は従来の半光沢仕上げからAR(アンチ・リフレクション)コートが施されたグレア(光沢)仕上げに変更された。画面への映り込みは大きくなるが、外光を86%吸収するこのグレアパネルの採用によって明所コントラストや映像のキレ味も大きく向上した印象を受ける。

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