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» 2016年04月28日 22時47分 公開

街が変わる、家も変える――IoTを活用するLED照明の可能性滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/3 ページ)

[滝田勝紀,ITmedia]

お客を呼び込むスマートリテール

 ECの店舗は増加の一途を辿り、一方のリアル店舗は“ショールーム化している”と揶揄されている。さまざまな原因が考えられるものの、やはりスマートフォンやPCで検索した製品が家まで届くという、オンラインショッピングならではの手軽さが大きいだろう。一方、販売側も人件費の削減やマーケットの拡大、高い収益性などが挙げられる。

 しかし、リアル店舗も負けてはいない。フィリップスはLEDを端末として、リアル店舗用に「スマートリテールシステム」を構築するため、ネットワーク対応の屋内照明測位システムを開発した。具体的には個々の照明器具に可視光通信(VLC:Visible Light Communications)と呼ばれる技術を搭載し、微細な光変調(固有の周波数)によって位置情報を伝送する。この技術で用いられる光の変調(フリッカー)は、人間の目では感知できないが、スマートフォンに搭載されたカメラで検出できるという。

VLC対応の店舗用照明

 スマートフォンに専用のアプリをダウンロードすると、来客は店舗側が提供するさまざまな位置情報サービスを利用できる。例えば、買い物リストに記載された商品の場所を30cm程度の誤差で特定できる。アプリ上の店舗地図には購入したい商品の場所が示され、それが店内のどの棚にあるのかまでスマートフォンが誘導してくれるのだ。また同時購入すると便利な商品をオススメする機能などもある。

可視光通信による店内ナビゲーションのイメージ

 もちろん店舗側は売上の増加と顧客満足度の向上が期待できるほか、店舗の棚の位置や来客の動き方などを常に分析し、店内の動線を効率化することもできる。またフィリップスは、デジタル店舗マッピングのリーディングカンパニーであるアメリカのソフトウェア会社、Aisle411と連携を発表。このパートナーシップを通じ、屋内測位システムの機能強化を図り、デジタル店舗マッピングから商品検索、分析などを含むエンド・ツー・エンドのシステムを提供できることになった。

屋内測位システムの機能を強化

 現在、このネットワーク対応屋内照明測位システムは、フランスの「カルフール」や、アラブ首長国連邦のドバイにある「アスワーク」といったスーパーマーケットチェーンで実証実験を行っている。

スマートオフィスでコスト削減

スマートオフィスのイメージ

 オフィスビルは、ビルのオーナーにとっても、オフィス管理者にとっても、そしてそこで働くオフィスワーカーにとっても快適かつ省エネな環境でなければならない。フィリップスは、それをLEDによって実現しようと米国のネットワーク機器メーカー、シスコと共同でオフィス向け照明システムのIoT化を実現した。

 まず、オフィス内で働くオフィスワーカーは、端末の専用アプリでオフィス内のマップなどを表示できる。端末はオフィス内の各照明と連携しており、照明の状況が分かるほか、例えば同僚が在席中か、不在かなども判別できる。さらに会議室などの空き状況も照明の稼働状況で判断。必要に応じて予約すればいい。会議に参加するプロジェクトメンバーにはアプリを使って通知するなど、照明を活用した効率的なオフィス環境を実現する。

コネクテッド・オフィスの概要

 経営者やオフィス管理者にもメリットが多い。照明の稼働状況でオフィスワーカーの動きを一括管理できるため、勤怠管理はもちろん、労働効率を高めるための導線の見直し、オフィスレイアウトの変更なども検討できる。さらにオフィスワーカーたちがいるところだけが照明が点灯できる仕組みを併用し、ムダな消費電力を抑えることも可能だ。大幅な省エネによるコスト削減が見込めるという。

 ビルのオーナーや管理会社は、省エネ化に加えて保守管理が容易になる。ある場所の照明に不具合が起きた場合、その状況がすぐに把握できるため、素早く対応が可能だ。フィリップスはPoE(Power over Ethernet)技術を利用したネットワーク対応照明とシスコのネットワーク技術を組み合わせ、オフィス向け照明システムをIoT化を進めている。

ビル内照明の管理画面

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