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スマート家電の“究極のハンズフリー”コントローラー? Netatmoの「Welcome」に迫る山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」(3/4 ページ)

» 2016年05月13日 14時16分 公開
[山本敦ITmedia]
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プライバシーにも配慮した、安心を提供するネットワークカメラ

 自分や家族の活動を記録する必要がない場合は、アプリのプロフィール設定から、人物単位で「録画なし/通知のみ」と設定しておけばいい。例えば子供が自宅に無事帰ったことを確認するためだけにWelcomeを活用するという使い方もこれでできる。妻や思春期を迎えた子供たちに向かって、「皆の生活を記録できるカメラをわが家に設置したい」と切り出したところで、例えどこの国に暮らしている人でも総スカンを食らうのは目に見えている。「ユーザーのプライバシーを確保しながら、“監視”するのではなく“安心”を提供するためのネットワークカメラ」という、Netatmoが考えるWelcomeの特徴的なコンセプトが、こんなふうにソフトウェアの力で実現されているのだ。なお、Welcomeのユーザーが遠隔操作によりライブ映像をモニタリング、あるいは動画を記録している際には本体フロント側のカメラユニットの直下に配置されている赤色のLEDランプが点灯するので、いま自分が見られていることが家族にも伝わるようになっている。

雑誌の誌面やタブレットの画面に人の顔を表示して、カメラに近づけてみるとまずは当然ながら顔として認識する。顔でないものを認識してしまったら、選択肢から「顔ではない」を選ぶと素直に学習してくれる

 Welcomeの顔認識アルゴリズムは、ユーザーが使い込むほど精度が上がるインテリジェンスを備えている。人物の顔であれば、雑誌やデジタルディスプレイに表示されている人物写真も顔として認識してしまうが、まあこれは実用上で大きな問題にはならないし、むしろ頼もしいぐらいだ。テスト中に一度、壁に掛けていた手ぬぐいが風になびいて動いたところ人物として認識してしまったこともあったが、こうしたケースが発生した場合は後ほどアプリから映ったものが「顔ではない」ことを覚えさせていけば、精度が段々と向上していく。先頃ソフトウェアのファーム更新により、カメラが顔を認識する際の精度や、ユーザーの顔を覚えるのに必要なデータ記録の頻度短縮も実現された。

 またWelcomeが認識できる対象も人の顔だけでなく“アラーム音”にも広がった。これはWelcomeが本体内に搭載されているマイク、および可聴周波数や信号の反復に基づくアルゴリズムにより、防犯装置や火災報知器などのアラームが鳴っていることを検知して、ユーザーのスマホに通知で知らせるというものだ。

 今回Welcomeを使ってみて、意外にセットアップが簡単で、画質がとても良いので、工夫によって色んな使い方ができそうだと感じた。別荘の様子を誰も人がいないときにでもチェックできると言われても、筆者はそういったものを所有していないのでピンとこないが、例えばペットを飼っている方であれば、自宅の犬や猫の様子をWelcomeでチェックして安心する、和むといった用途にも活躍してくれるだろう。

スマホのノーティフィケーショントレイに顔を検知、あるいは動作を検知した際のアラートが並ぶ

 ちなみに今年の年初にスペイン・バルセロナで開催された「MWC2016」を取材した際には、SIMカードを装着してLTE/3G回線に接続できるポータブルタイプのネットワークカメラを開発、商品化しているメーカーが多くあった。1週間の平日には我が家で使いながら、週末に過ごす別荘にも持って出かけて使うといったスタイルや、出張先のホテルに設置して、スタッフがしっかりルームクリーニングをサボらずにやってるかをチェックするのに便利なツールとして紹介されていた。確かに移動が多いユーザーにとっては、面倒なセッティングが簡略化できるポータブルタイプの製品もあれば便利かもしれない。

モバイルアプリ「IF by IFTTT」と連携してスマート家電がコントロールできる

 でも、色んなネットワークカメラの応用手段を考えてみたところで、結局筆者としては今の生活にはあまり必要もないかな? と思いはじめていたのだが、実はこのNetatmoのWelcomeに搭載されているもう1つの重要な機能を試したところ、その考えも大きく変わった。それは、IFTTT(イフト)が開発したモバイルアプリ「IF by IFTTT」を活用してWelcomeとさまざまなデバイス、サービスを連携させる機能だ。

「IF by IFTTT」アプリで設定したレシピが、トリガーによって起動されてメール等の通知を飛ばす
メール等での通知を設定しておけば、スマートウォッチで確認することも可能だ

 アプリには、スマホを中心に関連付けたデバイスや他のアプリを使った連続操作を1つのアクション(『レシピ』と呼ぶ)として登録しておき、一定の条件に合った操作が行われた場合に、これを“トリガー”としてレシピを発動させることができる。

トリガーにできるアプリも多彩。中央が「Welcome」だ(左)。Welcomeをトリガーにした場合のプリセット。メニューを順番にセットしていくと、プログラミングの知識などがなくても簡単にレシピが作れる(右)

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