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上位機に迫る機能を持った新エントリー! Astell&Kern「AK70」を徹底解剖ハイレゾ入門機(1/4 ページ)

» 2016年07月07日 10時30分 公開
[山本敦ITmedia]

 Astell&Kernのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーに、新製品「AK70」が加わる。国内での販売日は7月15日、販売価格は6万9980円(税込)にそれぞれ決まった。ハイレゾ対応のオーディオプレーヤーとしては“エントリー以上/ミドルクラス未満”の価格帯に位置付けられる本機の実力をハンドリングしながら解き明かしていこう。

Astell&Kernから発売された新しいハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーAK70
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本体色は既存のオーディオ機器にはあまりない「ミスティ・ミント」

「AK70」は先代入門機「AK Jr」からどこが変わった?

 Astell&Kernといえば、本誌でも以前レビューを紹介した50万円の超ド級フラグシップ「AK380」を筆頭に、ハイレゾ対応オーディオプレーヤーの注目機を数多く発売してきたブランドだ。大半のモデルが10万円を超える価格で販売されているので、入門者にはやや手が出しづらい“高嶺の花”のブランドというイメージもあったが、昨年の中頃にエントリークラスの「AK Jr」が登場。直販サイトなどで7万円を切る価格で販売され、Astell&Kernの音が比較的手頃な価格で楽しめるプレーヤーとして人気を博した。新製品のAK70はAK Jrの後継機となるシリーズのエントリーモデルだ。始めにAK Jrと比べながら、AK70に新しく加わった機能を解説していこう。

AK Jrよりも縦のサイズが短くなった
AK 70の方がやや本体が厚くなっている

 ハイレゾ対応のポータブルオーディオプレーヤーの中にも、最近はバランス接続やDSDネイティブ再生に対応するモデルが増えている。AK70にも「AK300」などの上位機種が搭載するバランス接続機能が加わったのは喜ばしい限りだ。2.5mm/4極シングル端子なので、従来のAKシリーズの上位モデルとも互換性がある。

AK70にはバランス接続用のイヤフォン端子が増えた

 AK70の場合、DSDはネイティブ再生ではないが、5.6MHzまでの音源をリニアPCM変換により再生できる(AK Jrは2.8MHzまで)。D/Aコンバーターのチップには「AK120II」「AK100II」にも搭載されてきた実績のあるシーラス・ロジック「CS4398」をシングル使いで搭載。リニアPCMは最大192kHz/24bitまで対応するほか、384kHz/32bitの音源は192kHz/24bitにダウンコンバートになるが、再生して楽しめる。

 対してAK Jrは、Astell&Kernの初代ハイレゾ対応プレーヤー「AK100」にも採用されていたWolfsonのDACチップ「WM8740」を採用し、リニアPCMのネイティブ再生は192kHz/24bitまで。192kHz/32bitの音源までがダウンコンバート再生に対応しているが、サンプリング周波数が384kHz、352.8kHzのファイルは再生できなかった。384kHzクラスはまだ対応する音源が多くないので、今のところまだ搭載されていないと困るという機能ではないが、長く愛用したいのであれば変換再生機能だけでも付いているに越したことはないだろう。

 またAK Jrのワイヤレス通信機能はBluetoothにのみ対応していたが、AK70ではWi-Fi接続もサポートしている。それはつまり、「AK300」などの上位機種が対応するDLNAコントローラーアプリ「AK Connect」やストア機能が使えるようになったということだ。AK70には内蔵メモリーが64GBと、拡張用にSDカードスロットが1基搭載されているが、ハイレゾ音源が手元に増えてくると、これらのストレージではまかないきれなくなる。そんな時に「AK Connect」アプリがあれば、AK70からホームネットワーク上のNASやPCに保存した音楽ファイルにアクセスしてネットワーク再生ができるようになる。使ってみると便利な機能だ。

設定画面にWi-Fiや「AK Connect」が加わった。AK Connectはホームネットワーク上のNASなどに保存されている楽曲をAK70で再生できるようになる便利な機能

 ストア機能を活用すれば、AK70単体でGroovers+のサイトからハイレゾ音源をダウンロードして買えるようになる。これが果たして便利な機能なのか、後ほどダウンロード購入を試した結果を報告しよう。

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